今日は短編のみという事で。
本日最後はおじいちゃん達の世間話という渋い短編で
締めくくります。

タイトルがまだ思いつかない大失態。
下書きの時のタイトルは「じーちゃん」でした。
あ…あんまりだ…il||li_○/￣|_il||li

困ったらすぐ外国語に逃げます。
今回はドイツ語で『親』です。
メシアと倅はただイチャイチャしてるだけです。
二人の大げんかは何故か書くと倅の平謝りで終わる。
しっかりしろ倅！

ちなみにメフィストの台詞に
尊敬し過ぎて好き過ぎるサイト様の四コマの一言が
あります。
判った人はリクエスト権が得られます！（いらん）

じーちゃんs 大好きだ！という方は
【つづき】からドウソ！

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Ein Elternteil


「メフィスト二世！今日という今日は絶対許さないからな！」
「わわわわッ！バカ！笛構えるなー！」

ドタドタと廊下を走り去る悪魔くんとメフィスト二世の姿を
ファウスト博士とメフィスト老が見送った。

「倅には落ち着きというものが足りんな」
「メフィスト二世はまだ子供じゃ。そう言うてやるな」

二人はずずず、と茶を啜って
魔眼の映し出す映像を見ていた。
その映像には　さっき見送ったはずの二人。

「じゃがのう、メフィスト。いくら子供でも許せんこともある」
「…悪魔くんの事か」

コト、と器をテーブルへ置いて
メフィスト老は座っている椅子の背もたれに大きく身体を預けた。

「さよう…第一使徒といえど、メシアに手を出すとは
　許されるはずもない」

映像に音声は無く、二人が喧嘩している内容もわからない。
わかるのは、今、悪魔くんが笛を吹いて、
メフィスト二世が激痛に苦しんでいるという事。

「おぉ、あれは痛いぞ」
「メフィスト。わしは真面目に話を」

わかっておる、と手を振って、メフィスト老はじっと
映像を見つめた。

「散々止めたが…あいつはついに首を縦には振らなかった」

封印されるぞ、消されてしまうぞ、悪魔くんが不幸になるぞ。
どれを並べても、涙の浮かんだ大きな目でこちらを睨むだけ。

『確かに俺はガキだ…だが、あいつの事を本気で愛してる。
　あいつだって…真吾だってそうだ。
　何されようと知ったこっちゃねぇ！離れるくらいなら
　二人で消えちまった方がマシだ！』

「…のぅ、ファウスト。しばし、成り行きを見るわけにはいかんか」
「成り行き、じゃと？」

映像の中では、ようやく喧嘩が終わろうとしていた。
むくれている悪魔くんの背に、メフィスト二世が乗りかかって
必死に謝っている様子が映っていた。

「わしらが止めたところで、もう止まる二人ではない。
　倅と悪魔くんがどこまで本気で互いを想っておるか
　見守ってやるわけにはいかんか。
　現に悪魔くんは、今もその役目を疎かにしてるわけではあるまい。
　気配りの過ぎるメシアも人間。
　追い詰められれば簡単に黒悪魔の誘惑にかかるじゃろう。
　今の二人を引き離すのが得策とは思えんよ」
「しかし…」
「…それにのぅ」

喧嘩の終わったらしい二人は
今度は中庭で仲良く並んで座っていた。
後ろ姿の二人が、顔を見合わせて笑い
キスをして、また笑った。

「…わしは、倅のあんな幸せそうな顔は
　見た事がない。
　親として、子供がようやく見つけた幸せを
　奪う事はできん」

映像を見守るメフィストの横顔を見て
ファウスト博士は一度深くため息をついた。

「やれやれ。子離れのできん親じゃな」
「あやつはまだ子供じゃからの。早く孫の顔が見たいわい」

悪魔くん似の女の子が良いのぉと笑い
ファウスト博士は　これッ！　と喝を入れた。
映像の向こう側　二人の背中は寄り添って、そこに在った。


End.