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プロフィール
HN:
仲里 沙月(ナカザト サツキ)
性別:
女性
趣味:
読書*映画鑑賞*ゲーム
自己紹介:
7/12生
本の虫!倅とメシアが大好きです!好き過ぎる!
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仲里沙月の悪/魔くん小説(二埋)ブログ。
5000HIT ありがとうございます!
遂に5000デスヨ!
5000ゲット様、5000に近い方は拍手でもメールでも
ご連絡お待ちしてます☆リクエストもお待ちしてます☆
今日は今年一発目の短編小説。頑張るメシアが書きたかった一作。
結構前から書いてたのに何故か未完成のまま
下書きに放置されてた一作(ヲイ)
でも最近の通常短編の中では力入れて書きました!
ちなみにイチャコラ度は低いです。
今年も見守ってやるゼ!という後光さしてる貴方は
【つづき】よりドウゾ!
遂に5000デスヨ!
5000ゲット様、5000に近い方は拍手でもメールでも
ご連絡お待ちしてます☆リクエストもお待ちしてます☆
今日は今年一発目の短編小説。頑張るメシアが書きたかった一作。
結構前から書いてたのに何故か未完成のまま
下書きに放置されてた一作(ヲイ)
でも最近の通常短編の中では力入れて書きました!
ちなみにイチャコラ度は低いです。
今年も見守ってやるゼ!という後光さしてる貴方は
【つづき】よりドウゾ!
自分が 大切じゃないはずがない。
ただ 僕は
自分より大切なものを
きっと人より多く 持っているだけなんだ。
・Fly me to the moon・
「なんだって!二世達が!?」
その日。
たまたま見えない学校に顔を出して
幽子から報告を聞いた。
メフィスト老、二世、ユルグ、鳥乙女、
百目、サシペレレが魔界のはずれに向かったきり
戻ってこないらしい。
「どうして僕を呼ばなかったんだ!」
「あ、悪魔くん、昨日の戦闘で
怪我をしたでしょう?それで…」
確かに左腕に怪我をしたから、今日もその治療で
見えない学校に来ていた。だけど。
「僕もすぐそこへ向かう!幽子は待機してて」
「でも…」
「必ず、みんなを連れて帰ってくるよ」
「あ、悪魔くん!あのねッ」
幽子から最後の報告を聞いて、僕は急いで家獣に乗り込んだ。
『あそこは、魔界でも神の地に一番近い場所なの。
もし…もしも…』
もしもそこに入って、神々の怒りに触れていたら…。
悪魔である彼らは、もう…。
「頼む家獣!急いでくれ!」
胸がザワザワする。嫌な予感に、目眩がしそう。
「…二世…」
いつもなら君の名前を呼んだら、勇気が出るのに。
今はこんなにも不安で、仕方ない。
お願いだからみんな…無事でいてくれ。
着いた場所は、小さな森の入り口。
魔界のはずなのに、空気が澄んでいる。
「家獣は、ここで待っていてくれ」
悪魔である家獣はこの先は辛いはずだ。
みんなだってそうだろうに、どうしてこんな場所へ…。
辺りを見回しながら森の中を進んで行くと
どこからか綺麗な歌声が聴こえた。
声の方には光が溢れていて、
そこには天使が二人 歌を歌っていた。
僕に気付くと二人は歌を止め、こちらを向いた。
「あなたは、悪魔くん?」
「悪魔くん、ですか?」
「そう、です…。
あなた達は…エフェメラエ…?」
小さな子供の姿をした、小さな天使。
本で見た、『歌う天使』
非常に短命で、一日しか生きられないと書いていた。
「どうしてあなた達がッ…」
「お仲間をお預かりしております」
「どうぞ、こちらへ」
二人は僕に背を向けて、ゆっくりと進んだ。
進めば進む程、神聖な空気を感じる。
こんなところに長時間いたら、二世達はッ…。
「こちらです」
着いた先には建物もなく、ただ漠然と
『扉』が一枚あるだけだった。
「中でメルキセデク様がお待ちです」
「心してお入り下さい」
「な、なんだって!?」
答えは返ってこないまま、扉の中へ押し込まれた。
転びそうになったのを堪えて顔を上げると
真っ白な部屋の中にいた。
そこに大きな檻が一つ。
みんなはその中で、首に鎖をかけられている。
百目の目が僕に向いた。
「悪魔くんだモン!」
「百目!みんな!」
「お前が、"悪魔くん"か」
駆け寄ろうとした時、頭上から声がした。
声の主は、宙に浮いたまま、僕を見下ろしている。
「あなたが…メルキセデク、様…」
正義の王であり、永遠の祭司。
金の王冠を被った老人の姿は凛々しく、
まっすぐに浮いていた。
旧約聖書で見た、その人が僕を見て、檻を指差した。
「その者達は悪魔でありながら、無断で神の地に
足を踏み入れた」
「お願いです!彼らを放して下さい!」
「ならば、お前が彼らの罪を償うか、"悪魔くん"」
澄んだ目が僕に向けられた。
「やめろ、真吾!自分たちの罪くれぇ自分たちで償う!」
「己で償うなら、消えてもらうぞ。小さな悪魔よ」
もう一度檻を指差されて、僕はみんなを庇うように
檻の前で両手を広げた。
「待ってください!僕が、僕が償います!
どんな償いでもします!だからッ!」
指は、今度は僕をさした。
「では償いとして 自由を差し出せ」
「…自由?」
「身体を思いのままに動かす、その自由。
それが、お前に差し出せるか?」
身体が 動かなくなる。
五体満足に生まれて、そんな経験をした事はない。
けど。
「はい」
「やめて、悪魔くん!」
鳥乙女が泣いてる。
でも ここで引けない。
必ずみんなを連れて帰るって、
幽子とも約束したんだ。
「ではまず その右足」
右足を指差され、僕はその場に崩れ落ちた。
なんとか左足で立ち上がったけど、右足に力が入らない。
一瞬だった。 一瞬で、足を奪われた。
ガシャン、と音がして 鳥乙女の鎖が解かれた。
「次は 左足」
「ぅわあ!」
とうとう僕はその場に平伏すように倒れた。
またガシャン、と音がして鎖が一つ外れた。
「悪魔くん!」
「サシペレレ…良かった」
笑いかけて、僕は両腕で身体を起こした。
正座の格好で、もう一度両腕を広げた。
「まだ 諦めんか」
「はい。どこを失っても、耐えてみせます。
けど…彼らを失うのは、耐えられない!」
そう叫んだ僕は恐怖で頭がグルグル回る。
けど これだけは 譲れない。
大切な仲間 …大好きな二世
神様に齧りついてでも 連れて帰る。
「悪魔くん!もうやめてだモン!
僕、僕、帰れなくても」
「百目!」
思わず怒鳴ってしまった。
バクバク言う心臓を落ち着かせるように、
ゆっくり言った。
「そんな事、言わないでよ…
百目がいなきゃ、寂しいよ」
「悪魔くん…」
「では 次は左腕」
ガクン、と左腕が力を失って落ちた。
支えを失ってフラフラ揺れる指先は、まるで人形だ。
「もうやめるんだ、悪魔くん!」
無口なユルグが叫んでも
僕は頷かなかった。
メルキセデクを見つめる僕はもしかしたら
彼を睨んでいたかもしれない。
悪いのは 僕たちの方なのに。
「右腕」
とうとう両腕を失って
僕はただ檻の前に座っているだけになった。
でも ここは絶対に動かない。
みんなを離してくれるまでは。
「悪魔くん、もういい、もういいんじゃ」
メフィストの言葉に振り返ると
鎖に繋がれてるのは二世と彼だけになっている。
あと 二人。
「大丈夫。みんな、絶対に連れて帰るからね」
「真吾!もうやめろ!お前にそんな事させて
俺達が笑って帰れるわけないだろ!」
二世の目から涙が溢れてる。
普段は絶対人前で泣かないのに。
涙を拭おうとして 差し伸べる腕がない事に気付いた。
途端に押し寄せた恐怖に、歯がガチガチ鳴った。
「真吾ッ…!」
「それでもッ…僕は…君達を失いたくない」
歯を食いしばって、メルキセデクに向き直った。
「…見事なものだ。メシアよ」
指差していただけの手が、手のひらをこちらへ
向けている。
「だが、一つ お前は思い違いをしている」
それに気付いた時 お前達の罪を許そう。
確かにそう聞こえた瞬間 真っ白な光に覆われた。
「ぅあああ!」
「きゃぁああ!」
みんなと、僕の悲鳴が聞こえて、辺りの空気が変わった。
魔界独特の匂い。
光が眩しかったせいか、目が開けられない。
「み、みんないる!?」
「え、えぇ…」
「ちゃんとみんないるモン」
「おうッ…全員、いるぞ」
「こ、腰がッ…」
良かった、と息をついたけど
じゃあ メフィストと二世の分は…?
考えながら目を開けると、そこは真っ暗な闇だった。
「あれ、ここ、どこ?」
「大丈夫よ、悪魔くん。ここは魔界よ」
声はするけど、姿はちっとも見えない。
「魔界の、どこ?どうしてこんなに暗いの?」
「悪魔くん、何言ってるんだい?」
サシペレレも、だ。声しか聞こえない。
「みんな、どこにいるの?」
首を振って探しても、周りには闇しかない。
「真吾ッ…お前」
「二世…、どこにいるの?」
「ここにいるだろ!真吾!」
肩を掴まれて、揺すられた。
目の前に二世の気配がするのに、見えない。
「…見えない」
何も見えない 闇の中。
その時に やっと気付いた。
二人の対価は 僕の両目だったんだ。
***
その日から僕は見えない学校で生活を始めた。
急に盲目になった僕に家族がどんな反応をするか
わかりきっていた。
サシペレレが僕の代わりに人間界で
百目と貧太くんの力を借りながら生活している。
悪いよ、と言っても
僕のせいだから、と言ってきかなかった。
あの日。魔界の外れへ行ったのは
先日怪我をした僕の薬草を探すためだったらしい。
今回の事は、怪我をしてみんなに心配をかけた
僕にも責任があるような気がした。
自業自得、かもしれない。
「…暇、だなぁ…」
本も読めない。
動くこともできない。
仮眠室の椅子に座ってただ過ごすには
一日は長過ぎる。
いざとなれば、ソロモンの笛は
手を使わなくても吹ける。
その事実だけが僕を支えた。
まだ、みんなの力になれる。
そう思いながら、メルキセデクの言葉の意味を
考えていた。
「思い違い…」
『それに気付いた時 お前達の罪を許そう』
確かにそう聞いた。
でも僕の思い違いって…。
出ない答えに唸っていると
コンコン、とノックの音が鳴った。
「真吾」
「二世…どうしたの?」
「いや…退屈だろ。音楽でも聴くかと思ってな」
傍でガタガタ音を立てて、何かを準備している。
「屋敷にあったやつだから、結構古いんだけどな」
「持ってきて良かったの?」
「どうせ使う奴はいねぇんだ。構いやしねぇよ」
ジジジ、と蓄音機独特のノイズが鳴って、音楽が響いた。
優しいピアノの音色。
「…ドビュッシー、だね」
「よくわかったな」
「そりゃわかるよ。有名だもん」
音楽には詳しくないけど、さすがにこれは知ってる。
「もうじき夕飯だからな。楽しみにしてろよ」
「夕飯って…まだ昼過ぎでしょ?」
「…わかるのか?」
「見えなくても、明るさはわかるよ。
まだ明るいから、昼過ぎでしょ?」
バレたか、と小さく聞こえて
思わず笑ってしまった。
頬に、手袋をはめた手が触れた。
「…二世?」
「………じゃ、また来るから
大人しくしてろよ」
すぐにその手が離れて、扉の閉まる音がした。
キス、されるかもと思ったけど、違った。
目が見えなくなってから、二世は一度も
キスをしてくれなくなった。
嫌だって言ってもしてきたくせに
それがピタリとやんだ。
何も見えない分、傍にいてほしいのに
いつもすぐどこかへ行ってしまう。
もう一度ノックの音が聞こえて、
入ってきたのはメフィストだった。
「悪魔くん。大丈夫か?」
「メフィスト…」
「様子を、見に来たのじゃが…」
そう言って黙ったメフィストに
思い切って訊いてみた。
「最近…メフィスト二世、変じゃない?」
僕以外には普通なんだろうか。
そう思って訊いたら、少し唸り声が聞こえた。
「無理もなかろう…倅は、いつも君を守ると言っておったからな」
「…どういう事?」
「悪魔くんに守られて、挙げ句に光を奪ったとなれば
思い詰めるのは当然じゃ」
心配せずとも、すぐいつもの倅に戻る、と言って
メフィストは部屋から出て行った。
『俺が守ってやる!』
そういえばいつも言ってたっけ。
大事な事のはずなのに、何故か聞き流していたな。
「…亜麻色の髪の乙女、か…」
僕は頭を窓の淵に預けて、瞼を閉じた。
瞼の裏に見えるのは、最後に見た、泣いている二世。
あの時 手を差し伸べられなかった。
それが 今でも辛い。
***
真吾の夕飯を届けに行くだけなのに
俺の足はいつもより重てぇ。
腕も足も動かせず
目も見えなくなったあいつを
あとどれくらい見てなきゃいけねぇんだ。
『それに気付いた時 お前達の罪を許そう』
「…まだ…気付かねぇのか…」
十二使徒が気付いても、あいつが自分で気付かなきゃ
意味がねぇ。…そう言ったのは俺だったっけな。
夕飯片手に、薄く開いたままの扉にノックを
しようとした時 中から歌が聞こえた。
蓄音機の音じゃねぇ。よく知った声が、歌っていた。
「 …Fly me to the moon
Let me sing among those stars
Let me see what spring is like
On Jupiter and Mars 」
月を見上げて、そう歌っている後ろ姿は
とても目が見えないようには見えなかった。
それどころか、此所にいねぇ気さえした。
「……どうしたの、二世」
真吾は歌の途中で、振り返らずそう言った。
「よくわかったな」
「気配がしたから…っていうか、声かけてよ」
夕飯をテーブルへ置いて、真吾の前に立った。
こっちを見ているものの、その目にいつもの光がねぇ。
「……月になんか行きてぇのか?」
「暇だっただけだよ。この歌、知ってる?」
「さぁな。どっかで聴いた事がある程度だ」
そう言うと真吾は歌の続きを歌い始めた。
「…In other words, hold my hand.」
"つまりね、…手をつないで"
「In other words, darling…kiss me.」
"つまりね、…ねぇキスして"
顔を少し赤くして俯いてる真吾の肩を抱いて
すぐに離した。
「もう寝ろよ。ベッドまで連れてってやるから」
「…どうして……」
あれ以来、キスどころか手をつなごうともしない事を
訊いてるんだろうが、答える訳にはいかねぇ。
お前が自分で気付くしかねぇんだ…真吾。
その時。部屋の扉が大きな音をたてて開いた。
「メフィスト二世!」
「鳥乙女、どうしたんだ?」
「大変よ!黒悪魔が…見えない学校を攻撃してるの!」
***
僕も行く!と命令して、二世に動かない身体を背負わせたけど
腕も足も目も使えない僕が行っても役に立つかは疑問だった。
「あいつかッ…!真吾、ここにいろ。妖虎!真吾を守れ!」
「二世!」
二世の背中から降ろされて、すぐ傍に妖虎の気配を感じた。
「妖虎!黒悪魔は、どんな奴なんだ!?」
「黒い球体だが…攻撃が通じんのだ!」
次々飛んで来る攻撃に、妖虎も応戦してる。
みんな戦ってるのに僕は…僕は完全に役立たずだ。
「くっそー!なんて固ぇ奴だ!」
「メフィスト二世さん!また氷の剣が来るわ!」
「ちくしょう!」
二世も苦戦してる。
黒い球体…固い…氷の剣…
「…家獣!象人!」
「バウ、バウー!」
「ゾウー!」
家獣と象人に指示を出して、妖虎の気配の方へ向いた。
「妖虎!二世とユルグと協力して、あいつに炎の攻撃をするんだ!」
「悪魔くん、あいつに炎は通じんぞ」
「炎は通じなくても…あと、メフィスト二世に伝言をお願い」
僕の考え通りなら上手くいくはずだ。
…目の見えない今の僕の考えが正しいか、はっきりした自信はない。
二世とユルグと妖虎の声が響き渡って、辺りが一気に熱くなる。
鳥乙女が僕の傍で飛び散る炎から守ってくれている。
「悪魔くん、何をしようっていうの!?」
「黒悪魔は…今、どうなってる!?」
「真っ赤になってるけど…でもあいつは燃えないのよ!」
"真っ赤になってる"
「家獣!象人!」
「バウー!」
「いくゾウー!」
家獣に叫ぶと、熱い空気に水しぶきが散った。
少しして、バキバキと音が聞こえた。
「今だ!二世!」
「くらいやがれ!魔力、稲妻電撃!」
稲妻の音と叫び声の後に、少ししてみんなの声が聞こえた。
「真吾!大丈夫か!?」
「悪魔くん、無事なんだモン!?」
「うん!妖虎や鳥乙女が守ってくれたから…それより」
みんなの無事を確認しようと思ったのに、
僕の無事を確認するとみんな安心した声で喜んだ。
「悪魔くん大先生も無事で、あ、よいしょ!
こりゃめでたく一件落着でやんすねぇ!」
「あんたは逃げてただけでしょ」
「悪魔くん、僕も戦ったんだモン!」
「おう、百目の奴も珍しく役立ってたぜ」
「珍しく、は余計なんだモーン!」
みんなの笑い声が、いつもより嬉しそうだ。
「悪魔くん。どうしてみんなが喜ぶか、わかるか?」
「ユルグ……そりゃ、敵を倒した、から…」
「それもあるが、」
「それだけじゃないのよ」
ふわりと空気が舞って、細い指が頬に触れた。
「みんな、悪魔くんを守れた事が、嬉しいの」
「鳥乙女…」
「悪魔くんは、いつも私たちを守ろうと
怪我も、何かを失う事も恐れず、進んでいく。
私たちは…それが恐かったの」
『どこを失っても、耐えてみせます。
けど…彼らを失うのは、耐えられない!』
「悪魔くんは大切な仲間よ。失いたくないの」
じゃあ …僕は…
口を開いた瞬間、真っ暗闇の視界に光が満ちた。
思わず目を閉じて、次に開けた時には僕はまたあの白い空間で
目の前にメルキセデクがいた。
僕は、その神々しい姿をはっきりと見た。
「メルキ、セデク様…」
『思い違いに、気付いたか?』
僕はゆっくりと立ち上がり、胸に手を当てた。
「はい」
自分が大切じゃないわけじゃなかった。
ただ、みんなの方が大切で。
だから、みんなの代わりに怪我をしても、嬉しかった。
だけど。
「僕は…大切な仲間を…苦しめていた」
きっと、二世の事も。
自分が失う恐怖を味わうのが恐くて
みんなにそれを与えていた。
『そうだ。自己犠牲の精神は所詮は自己満足から生まれるもの。
それは他の心を無下にする忌むべき行いだ』
「…そうです。僕は、僕が満足する結果を求めて
みんなの気持ちに、目を閉じてしまった」
目が見えていても、見えてなくても、わかってなかった。
みんなの気持ちも、二世の気持ちも。
『では見るがいい、小さなメシアよ。
その心で受け止め、お前達の罪を許そう』
「メルキセデク様!」
叫んだ瞬間、僕はもといた場所で、同じように座っていた。
「…みんな…」
目の前の十二使徒は戦いで怪我をしている。
なのに、その顔は凄く嬉しそうだった。
「どうした?真吾」
覗き込んできた二世の顔にも傷がある。
「二世…」
「ッ!…お前、目が」
思わず泣きそうになったのを見られたくなくて
目の前の二世に抱き着いた。
「ごめん…ごめんね、二世ッ…!」
「…真吾ッ…」
やっと目が見えたっていうのに
僕を抱き締めた二世はまた泣いていた。
その夜。
みんなで僕の回復を祝ってみえない学校で
パーティーを開いてくれた。
大人組は酔っ払って、子供組はすぐ寝ちゃって
いつもと同じパーティーだったけど
みんなはいつも以上に嬉しそうで、そしてみんな泣いていた。
百目が眠ったのを見て、一人、中庭にやってきた。
魔界の夜空に浮かんだ真っ赤な月を見ていたら
「…どうしたの?メフィスト二世」
ほら。また背中に君の気配。
「またバレたな」
「見えていても、見えてなくても
君の気配ならわかるよ。でも…」
大切な事は、見えてなかった。
「…ごめんね、二世」
「謝んなよ。それは…俺の方だ。
お前を守れなかった上、神の怒りなんつーもんまで買っちまって
挙げ句、お前から自由を奪ったんだからな」
僕の頬に、手袋を外した手が触れた。
「…そうだね。いくら僕のためだからって
神様の地へ行くなんて自殺行為だよ。
もう、やめてよね」
「なら、お前も無茶すんなよ」
「約束するよ」
"失うかもしれない"
その恐怖を 僕の大切な君に味合わせるなんて もう二度と。
「今日はお祝いだろ。なんか言えよ」
「言えって…」
「してほしい事とか、ほしいもんとか
なんでもいいからよ。今日は叶えてやるぜ?」
俺にできねぇ事なんざねぇ、と二世はやっと笑った。
それが嬉しくて
「じゃあ月まで連れてってもらおうかな」
僕も笑って、二世を抱き締めた。
ふわ、と二つの身体が浮いて、それはどんどん高くなって
本当に月までいける気がした。
「星空はねぇけどな」
真っ黒な闇に真っ赤な月だけの夜空で
二人で笑った。
「じゃあ、手を繋いで」
抱き合ったまま 手を繋いで
…kiss me.
見つめ合ったまま キスをした。
End.
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