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仲里 沙月(ナカザト サツキ)
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仲里沙月の悪/魔くん小説(二埋)ブログ。
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昨日の続きという事で「紅の約束(3)」です。
一見ここで終わりっぽいですが続きます。
この作品は一切自重しません!(言い切った)

あ。でも一気載せは自重中です!

(3)は倅が大暴れです。大暴れ過ぎます。
その部分は短いので残虐って程ではない、かと。
倅はキレたら恐いに違いない。でもメシアの方が恐いはずだ。
そんな感じの(3)です。

【つづき】よりドウゾ!




(3)


百目の言った洞窟はやけに広かった。
魔導カーで突き進んでも、行き止まりが見つからねぇ。
最大スピードを出し過ぎたのか、魔導カーはさっきより遅いようだ。

「親父!こっからは飛んで行くぜ!」
「黒悪魔の気配はこの奥じゃ!気をつけるんじゃぞ!」

助手席から飛び出そうと構えた瞬間
洞窟内に断末魔のような悲鳴が響いた。

「真吾ッ!!」

間違いねぇ。真吾の声だった。
断末魔は徐々に小さくなり、聞こえなくなった頃
俺はようやく そこへ 辿り着いた。

二匹の黒悪魔が立ち、真吾が磔にされていた。
服を引き裂かれ、手足を血塗れにして、
右目は血を吹き出している。
立ちふさがる黒悪魔をステッキで払い
真吾の腕に絡まる鎖を切ると、
力のない身体が俺の胸に落ちた。

「真吾!しっかりしろ!真吾!!」
「悪魔くんッ!」

追い付いた鳥乙女が駆け寄った。
親父はシルクハットから薬草や包帯を慌てて出していた。

「悪魔くん!しっかりするんじゃ!」

親父が真吾を抱えて、右目から流れる血を止めようとした時

「ゲホッ、ェ、ッ」

真吾の口から嗚咽と主に吐き出された白濁の液と血。
それはぐったりとした太腿にも伝っていた。
全身の血が 冷たくなった。
気を失ったらしい真吾を
鳥乙女に 頼む とだけ言って俺は
黒悪魔に向き直った。
そいつ等は二匹共 へらへら笑っていた。

「メフィスト二世ッ」
「ユルグ 手出しするなよ」

自分の呼吸音がはっきり聞こえる。
俺は一匹の黒悪魔に火炎放射を喰らわせて、
もう一匹の喉元をステッキの先端で貫いた。
燃えながら攻撃してくる黒悪魔の胸元を
ステッキで打って自分の左腕に炎が移った。
けど、熱いとも痛いとも感じねぇ。
俺は首を貫いた黒悪魔を踏みつけて、
焼かれている黒悪魔の顔面をステッキで壁に刺した。
左腕の炎が俺の身体を伝おうとしていたが、
それも目に入らなかった。
足に力を入れると、そいつの頭がミシミシと鳴った。

「やめろメフィスト二世!もう死んでる!」
「うるせぇ」
「倅ッやめるんじゃ!」
「うるせぇ!」

親父は自分のステッキを振って
黒悪魔と俺の左腕の炎を消した。

「親父ッ」
「悪魔くんの傍に、いてやれ。さっきから…お前を呼んでおる」

ハッとして、鳥乙女に抱えられた真吾を見た。
親父のマンクに包まれて、閉じられている左目からは
涙が溢れていた。

「メフィスト二世!早く悪魔くんを見えない学校へ!」

俺は真吾を抱えて、見えない学校まで飛んだ。
親父と鳥乙女、ユルグは洞窟を調べてから戻るらしい。

「真吾…しっかりしろ」

出血は止まっていたが、血を流し過ぎて冷たくなった身体。
時々聞こえる呻き声だけが真吾が生きていると知らせた。


見えない学校へ着くと全員の顔が真っ青になった。
仮眠室に真吾を寝かせて、ピクシーが治療に取りかかった。
幽子、家獣、象人、蝙蝠猫が薬草を取りに行ったり
走り回っている間、俺は博士に見た事を話した。

「メフィスト二世…」

仮眠室に戻ると百目が震えながら声をかけてきた。

「どうしたんだ、百目」
「僕の…僕のせいだモン…ぼ、僕が…」
「…そう思うなら、悪魔くんの傍にいてやれよ」

俺は百目の頭を撫でて部屋を出た。

「俺は …傍にいる資格なんざ、ねぇ」

第一使徒。恋人。
俺が守らなきゃいけなかったんだ。
大広間で窓の外を睨んでも、真吾の顔しか浮かんでこなかった。
どうせなら笑ってる顔がいいってのに、
傷つき嗚咽を漏らす苦しそうな顔しか
浮かんでこなかった。

「…くそッ!」

苛立に首を振ると、何かが壊れる音が学校中に響いた。
音は仮眠室の方からだった。
俺は扉を開けて、仮眠室までブッ飛んだが
しばらく続いたその音は、俺が着いた頃には止まっていた。

「な…なんだ、これ」

仮眠室には戻ってきた鳥乙女、ユルグ、
それとサシペレレが突っ立っていて
ピクシーがベッドに横たわる真吾の脇で忙しなく動いている。
部屋は窓が割れて、本棚が倒れ、
ベッドのすぐ隣の壁には少し血が飛び散っている。

「メフィスト二世!どこにいたのよ!」

鳥乙女が涙の溜まった顔で俺の胸ぐらを掴んだ。
咄嗟に振り払って、何があったんだと聞くと、
鳥乙女の頬に涙が伝った。

「悪魔くんが目を…覚まして…」

目が覚めた時。
真吾の目は明らかに自分たちを見ていなかったと言った。
悲鳴を上げて、逃げようと暴れ回り、
治療途中の両手から出血したらしい。
ユルグとサシペレレが真吾をベッドに押さえつけると
急に窓が割れ、本棚が倒れたと言う。

「まるで、何かの力が動いているようだったんだ。
 ピクシーに鎮静剤を打ってもらって、今また休んだところだよ」

サシペレレは部屋を見回しながら、どうなってるんだ、と呟いた。
それでも俺は真吾を見つめたまま動けなかった。
右目に巻かれた包帯には血が滲んで、左目には涙の跡があった。
人間の それも、まだ十年そこいらしか生きてねぇガキが背負うには
大き過ぎる恐怖が、あいつの心に住み着いたんだ。



***


目が覚めると、僕は見えない学校に寝かされていた。

「こ、こ……どこ…」

何だか頭がぼんやりする。
風が僕の髪を揺らした。…どうして窓、割れてるんだろ。
起き上がると、首もとでソロモンの笛が揺れた。

「悪魔くん!」「気がついた!」
「ピクシー…此所は…見えない学校…?」

随分部屋が荒れているけど、此所は見えない学校の仮眠室だった。

「僕…どうして此所に…」
「…覚えて、いないのか?」

ユルグが心配そうに尋ねてきた。
僕の記憶が 一つずつ 一つずつ はっきりと現れた。
振り上げられた剣が僕の右目に刺さって そこで気を失ったんだ。
震える自分の肩を抱き締めて俯いた。

「悪魔くん…」
「……メフィスト二世は、どこ…?」

ユルグに尋ねると、見えない学校の中にいるのは間違いないが
どこにいるかまでは判らないと言った。
ありがとう、と伝えて僕はベッドの下に足を降ろした。

「まだ寝てなきゃだめだよ!」「安静にしてなきゃだめだよ!」

ピョコピョコ跳ねるピクシーを撫でて
大丈夫だよ、と笑った。
立ち上がると軽く目眩がしたけど、痛みは無い。
もう大丈夫だよ、ありがとうと
ピクシーとユルグに伝えて仮眠室を出た。




どこにいるか、手を取るように判った。

「やっぱり、此所にいた」

見えない学校の裏庭。
壊れた噴水の淵に座って、空を見上げていた二世は
血相を変えて僕のもとに走り寄ってきた。

「真吾!大丈夫なのか!?立てるか!?」
「やだな、今立ってるじゃない」

バカ、と言ってもいつものように返してこない。
代わりに、酷く落ち込んだ顔が見えた。
さっきまで二世がいた場所に座ると、
二世も黙ったまま隣に座った。

「怪我、したんだね」

二世の左腕に巻かれた包帯を見ると、
大した事ねぇ、と一言だけ返ってきた。

「…ありがとう。君が、助けてくれたんだよね」

気を失う瞬間、僕は確かに二世を見た。
幻覚だったのかもしれないと思っていたけど、今助かっているから
きっとあれは本物だったんだ。

「…俺は、お前を守れなかった。助けられなかったんだ」

そう言ってまた俯いた顔を、左から殴った。グーで。
右手に少し痛みが走ったけど、
僕はびっくりしてる二世を睨みつけた。

「僕はまだ生きてるよ!」
「……真吾…」
「勝手に死人にしないでよ!!」

まだまだ言ってやりたかったけど、
また目眩がしたからそこで止めて深呼吸した。
空気を吸って、僕はほんとに生きてるんだな、と実感した。
二世を見ると、殴った頬が赤くなってる。
…やり過ぎたかな。

「怖かったよ」

二世がこっちを向いたから、僕は慌てて視線を空に移した。

「苦しいし、痛いし、気持ち悪いし…とにかく怖かった。
 死ぬかもしれないと思った」

最後まで"悪魔くん"でいられたのは、二世がいたからだ。

「二世を思い出した。君がいつもみたいに笑って言うんだ。
 『大丈夫だ』って。『俺がついてるだろ』って」

それはいつも戦闘中、二世が僕に言っていた言葉だった。
痛みと快楽で全てを失いそうになった時 
二世が笑って、そう言った気がした。

「だから、僕はまだ生きてるし、まだ"悪魔くん"なんだ」

だから、そんなに自分を責めないでと、赤くなった頬を撫でた。
…やっぱり、やり過ぎたかな。
二世の腕がそろそろと上がって、
僕を壊れ物みたいに優しく抱き締めた。

「もう二度と、あんな目には合わせねぇ」
「…うん」
「俺が、絶対守ってやる」

二世が泣きそうな顔をしたから、僕まで泣きそうになって
慌てて笑顔を作った。

「…約束だよ」
「…約束だ」

優しく抱き締められて、僕は、あぁ生きてて良かった、なんて
月並みな台詞を吐いた。


4)へ。
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