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仲里沙月の悪/魔くん小説(二埋)ブログ。
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中学生編・第一話。
全然絡みがない…il||li_○/ ̄|_il||li ナンテコッタ
ま、ま。プロローグ的なものだという事で…
ド短編ばかりですので、軌道に乗るまでいい感じにならない気がしますが
頑張ります!

勿論、他のも書きます!ウヘヘ。

では!物足りない感じで終わってしまった第一話は
【つづき】よりドウゾ!





『また会おう』じゃなくて
『いつ会うか』を約束すれば良かったな。



01:I wanted to meet.


「悪魔くん」
「貧太くん…そろそろその呼び名、
 変えようよ」

箒を持ったまま、振り向いた。
中学に上がって、もう僕を"悪魔くん"と呼ぶのは
たった一人。
掃除時間という名の遊び時間の中で
貧太くんが苦笑いをしていた。

「癖になっちゃって」
「真吾、の方が呼びやすいじゃないか。
 同じ三文字だし」
「そのうちね。それより、今日課題忘れちゃって。
 居残りだから、先に帰っててほしいんだ」

両手を合わせて謝る貧太くんに
それなら図書室で待ってるよと言うと
嬉しそうにお礼を言われた。
そこでチャイムの音。
ホームルームのために生徒がバタバタと教室へ戻る。

「それじゃ、後でね」
「うん。課題、頑張ってね」

貧太くんも自分のクラスへ帰っていった。
ホームルームで担任の話しを聞き流して、今日も学校が終わる。
下校する生徒を、図書室で窓の外から眺めた。
真っ青な空には一筋の飛行機雲。
飛行機雲を見る度に、あんな風に
真っ直ぐ飛んでいた黒い影を思い出す。
また会おう、と約束して三年が経った。
エツ子はあれからもずっと彼を想い続けて、彼の話しをする。
僕の好きな人は妹と同じ人です、なんて喜劇だよ。

「…笑えないなぁ」

ほんとに、なんて、笑えない喜劇。
帰りたくないなぁと思い始めた時
タイミング良く図書室の扉が開いた。
貧太くんがもう来たのかと振り返っても
扉は開いたまま、誰の姿もない。
この中学には図書室が二つあって
小さな机が一つしかない、本の倉庫のような
この図書室は自習する生徒もいないから
下校時間が過ぎた今
扉を開けるとしたら貧太くんだけなのに。
首を傾げながらもう一度
前を向き直って 心臓が止まりそうになった。

「 久しぶりだな 」

目の前にいる姿は
さっきまで考えていた黒い影。

「め…メフィスト、二世…?」
「なんて顔してんだよ、幽霊じゃねぇんだぞ」

悪魔だけどな、と笑った顔に
別れた頃の面影があった。

「だっ……え、本物?」
「おいおい、"悪魔くん"が、自分の第一使徒の気配も
 判らなくなっちまったのかよ」

呆れ顔をされても。
座っていてもわかるほど、背が伸びて。
小さかったメフィスト二世が、きっと今は僕と同じくらいだ。
それに、メフィスト二世は…

「メフィスト二世は今はメフィストと…」
「これからは第一使徒として、お前のボディーガード兼サポート役ってやつだ。
 悪魔として随分親父にしごかれたんだぜ?」

ほらよ、と投げられた手紙。
小学生の頃に何度か貰った事がある
メフィストからの手紙だ。
確かに、理想郷実現のための手伝いを
メフィスト二世にさせろと書いてある。
追伸には、人間のことも少し学ばせてやってほしい、との事。

「ねぇ…人間のことを学ぶって」

顔を上げると、二世は既にいなくなっていた。

「メフィスト二世…?」

周りを見回しても誰もいない。
椅子から立ち上がると、一枚のカードが落ちた。

「Der Spaß ist morgen.…"お楽しみは明日"?」

また首を傾げる羽目になったけど
手に残るメフィストの手紙とそのカードが
夢や幻じゃなかったと証明していた。
突然の事に呆然としていた僕は
貧太くんが声をかけてくれるまで
そこに立ち尽くしていた。

***

「くれぐれも気をつけるんだよ」
「うん…いや、だから、別にメフィスト二世なら…」

そこまで言って、チャイムに邪魔された。
昨日あった事を貧太くんに話したら
今朝までずっとあの調子。
ものすごく心配されて
逆に僕は冷静になっていった。
朝のホームルームにクラスメートが
騒いでいるけど、僕はそれどころじゃない。
昨日だって、エツ子に二世の事を言えなかった。

「(今日は帰ったら…言ってやらなくちゃ…メフィス)」
「メフィスト二世くんだ」

考えていた名前を担任の声で聞いて
僕は勢い良く黒板へ向いた。

「よろしくな」

真っ黒な髪を少し立てて
中学の制服を着ている二世が
僕の方を見て笑った。

「よっ」
「メ、メフィスト二世!?」

僕は思わず席を立ち上がった。
担任は、知り合いなのか、とだけ言って
二世を僕の隣の席に座らせた。
僕の頭はもう爆発寸前です先生。

一限目が終わると同時に二世を中庭に引っ張った。

「どうして学校にいるの!?」
「親父の手紙に書いてあっただろ?人間を学べ、だとさ」

びっくりしただろ、と悪戯に成功した子供のように
言うけど、僕は開いた口が塞がらない。
無言のままの僕に、二世が眉間に皺を寄せた。

「嬉しくないのかよ」

そう言って覗き込んでくる顔は、あの頃と変わってない。
僕はようやく、二世が本当に帰ってきたんだと
実感した。

「ごめん…だって驚いたよ。
 ずっと何の連絡も無かったのに、急に転校してくるし
 それに、凄く成長してるし」
「格好良くなっただろ」

威張って胸を張る姿も、そのままだ。

「そうだね、凄く格好良くなったよ」
「…なんか、照れるな」

自分で言ったくせに、頬を掻いて照れる二世に
笑顔を向けた。

「おかえり、メフィスト二世」
「おう、ただいま」


It continues.

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