やってきました未来編！
このメシアが書きたくて未来編を始めたと言っても
過言ではないドSなメシア！
コレばっかり聴き過ぎたなー…まぁいいか。

なんか色々思いつかず色々文句言いたい感じですが
これ以上手直しすると余計ハチャメチャが押し寄せてきそうなんで
このまま掲載♥(ヤメナイカ)

では！どんなにドSなメシアも愛せる方のみ
【つづき】よりドウゾ！

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魔法の鏡も　映し出す




＊Thursday






翌日 その夜。
メシアは真っ白な装束を着て
大きい二世はいつものタキシードで
手に入れた地図の場所へと向かった。

「僕達がいないとあの城は絶対安全って訳じゃないからね」

そう言って僕と小さい二世も、その場所へ連れて来られた。

そこは古びた洋館で、メシアの城程じゃないけど
かなり大きい。

「他の十二使徒を召喚するから、二世。二人をよろしく」
「へいへい。仰せのままに」

ため息混じりに、面倒だとでも言いたげに返事をして
二世は僕達をメシアから離した。

「他の十二使徒も成長してるのかな？」
「さぁな。悪魔は数十年くれぇじゃ
　あんま変わらねぇしな」

…その割に二世は随分カッコ良くなっちゃってるけど。
まぁ二世は第一使徒、魔界でもトップクラスだし
別格かな。

呑気にそんな話しをしていると
ふいに広がった 苦い香り。

「早速お出ましか。
　チビ。悪魔くんから離れんなよ」
「誰がチビだ！」
「しっかり守れってこった」

大きい二世はそう言ってステッキを構えた。
次の瞬間 僕達の周りに鏡の壁が下りてきた。
それは何枚も何枚も重なって
僕達はあっという間に小さなミラーハウスに閉じ込められた。

「…まいったな」
「おい！もうピンチかよ！」

確かにピンチっぽいのに
大きい二世は余裕そうに欠伸までした。

『第一使徒さえいなければ
　メシアなど　敵ではない』

鏡が共鳴するように声が響いた。

『四肢を引き裂き　喰ろうてやる』

作戦開始から五分もしない間に絶体絶命。
けど　メシアを一番大切にしているはずの彼は

「てめぇみてぇなカスにゃ
　あいつはデカ過ぎるぜ。腹壊すぞ」

笑っていた。


『さて　どうかな』


ニヤリと口元を歪めたのは、鏡の中の大きい二世。
それは鏡の中でゆっくりと動き、姿を消した。

代わりに見えたのはメシアと
その後ろにいたのは今とあまり変わらない妖虎
黒髪に真っ赤なワンピース姿の女の子
今より数段綺麗になった鳥乙女
そして　蒼い髪の男性。

「あれは…？」
「妖虎、幽子、鳥乙女…ユルグだ」

…なにが"あんまり変わらない"だよ…
小さい二世に目を向けると
言った当人も、みんなの成長ぶりに驚いてるみたいだ。

「二世、こんなところにいたの」

メシアは偽物に気づいていないのか
無防備に笑いかけた。

「あれ？あの二人は？」
「あぁ…はぐれちまった」

偽物は肩を竦めながらメシアに近づいた。

手を伸ばせば簡単に届く距離

そこでメシアの背後から
ユルグが細い剣の切っ先を偽物に向けた。

「…なんのマネだ、ユルグ」

ユルグは答えず、代わりに
メシアの右ストレートが偽物に決まった。

「うわぁ…ありゃ痛ぇぞ」

本物の方はまるで人事のように顔をしかめた。
偽物は突然の事に床へ倒れ

「何すんだ真吾！」

そう叫んだけど、メシアは全く変わらない笑顔のまま
偽物を見下ろした。
悪魔の問いに答えたのは鳥乙女だった。

「気安く呼ばないで。
　メシアをそう呼んでいいのは…たった一人よ」
「…俺が偽物だと…気づいていたのかッ…！」

悔しそうに歪む偽物の顔に
メシアは可笑しそうに笑った。

「もし君が本物でも同じ事をしたよ。
　…僕はあの二人を任せた。二世は了解した。
　主に背く駄犬は厳しく躾けなきゃ、ね」

メシアは笑ったまま偽物の頭を床へと踏み付けた。

「二世に化けたのは失敗だったね。
　その姿は　僕に跪くのが一番似合うよ」

昨夜も見た　向こう側の見えない笑顔。
偽物は諦めたように目を閉じ、鏡へと形を変え
踏みつけたままのメシアの足が、それを割った。

笑顔のままのメシアが　割れた鏡に映った。

「さて、と」

メシアは偽物から足を退けて、辺りを見回した。
その様子を見ていた本物はようやくステッキをしっかりと構えた。

「うっし、やるか」

ステッキから大きな轟音が鳴った。

「魔力、雷神絢爛」

聞いた事のない呪文。
ステッキから現れた電撃は鬼の姿をして
一瞬で鏡を粉々にした。

「あぁ。いた、いた」
「かくれんぼに飽きたんでな。
　久しぶりに大暴れすっか」

ニャハハ、と笑う顔は今とあまり変わらないのに
その力は今と比べ物にならない。

「おい、チビ。俺はちょっと暴れてくっから
　お前の主をしっかり守れよ」
「ケッ。言われるまでもねぇや」

小さい二世が僕の手を握り、メシアが妖虎に飛び乗った。
まるでそれが合図のように僕達は洋館の奥へと飛んだ。
それを迎え撃つかように黒悪魔は次々と攻撃をしてきたけど
どれも相手にすらならない。

それでも小さな僕達を狙う悪魔も

「魔力！火炎放射！」

小さな二世にやられてしまった。

「デカい奴らばっかにいい格好させるか」

吐き捨てるように言うと前を走るメシアはクスクス笑った。

「懐かしいなぁ、"火炎放射!"」

黒悪魔の攻撃が止んだ頃
洋館の一番奥 大きな広間に出た。
そこに立っていたのは
大きな真っ黒の翼を広げた女性だった。

「あなたがメシア…ね」
「初めまして」
「…私の駒はどうしたのかしら？」
「もうクイーン…君しか残ってないよ。
　チェックメイト、だね」

笑顔のメシアに女も笑った。





「さすがね…五百年前、東嶽大帝を倒しただけはあるわ」






………今　　　なんて言った…？


"五百年前"


そんなはずない。
ただの人間が…五百年も生きられるはずがない。



「…人間じゃ…ないの…？」



思わず出た問いに答える声はなく
鳥乙女と幽子が前に出た。

「女の敵は女。やらせてくれるでしょ？」

ウインクする鳥乙女に
メシアは笑って、どうぞ、と答えた。

「いくわよ、幽子ちゃん」
「はい」

鳥乙女は高く舞い上がり、風を起こした。
それはまるで刃のように女を切り裂き
反撃しようとした瞬間、女の目の前には幽子がいた。

幽子は照魔鏡とは違う鏡を女へ向け

「集光鏡鳴」

また、僕の知らない呪文。
女は悲鳴を上げ、鏡の中へと吸い込まれていった。

僕達以外 誰もいなくなったそこで
メシアは辺りを見回しながら
やがて一つの 埃を被った宝箱を見つけた。
それを開けると 光の珠が幾つも宙に浮かんだ。

「あれは…？」
「あれは黒悪魔に殺された人間の魂じゃ」

妖虎が答えてくれたけど
その顔は 何か悲しそうだった。

メシアは魂へ手を伸ばし
次の瞬間 珠は矢の形へと変わり
メシアを貫いた。

「メシア！」

思わず叫んで駆け寄ろうとする僕の手を
小さい二世が掴んだ。

「二世ッ…!!?」
「よく見てみろ…」

メシアの身体は貫かれたのに血も出ていない。
そのまま、ゆっくりと矢の刺さった自分の胸を抱きしめた。

「……そう、…よく、頑張ったね。
　もう大丈夫だよ…ゆっくり、おやすみ」

呟いた声にメシアの身体から
光が上り それはゆっくりと消えていった。



＊＊＊



城へ戻ると僕は急いでメシアの部屋へと走った。

「真吾！ちょっと待てって！」
「待てない！どうしても聞きたいんだ！」

今日見たものの事
そして　　五百年の意味。

「メシア！」

部屋の扉を開け、中へ入ると
メシアは大きい二世の膝に頭を乗せて眠っていた。
二世はメシアの頭を撫でながら
人差し指を自分の口の前に立てた。

「お前等の聞きてぇ事は判るが…明日にしてやってくれねぇか。
　こいつも今日は疲れてんだ」

メシアの肩からズレた毛布をかけ直して、そう言う顔は
悪魔とは思えない程優しくて
メシアもまるで小さな子供みたいな顔をして眠ってる。

「……ごめんなさい…おやすみ」

それだけ言って 僕は部屋を出て
自分達の部屋へと歩いた。
黙ったまま歩き、部屋に着くと

「大丈夫だって」

小さい二世が僕の手を握った。

「お前が不安に思ってるような事は、ありゃしねぇよ」
「……ありがとう」

泣きそうになるのを見られたくなくて
二世にキスをした。
でも 二世があんまり優しく抱きしめるから
僕はキスしたまま　結局泣いてしまった。








二世　君は嫌がるかもしれないけど


僕は

人でいたいんだ。










つづく？