懲りない・やめない・自重しない。
まさに仲里三原則(ヤメナイカ)

次回辺りからようやく書きたいものが書ける感じです。
未来編は書けば書く程エロくぶっ飛んでいくので
こっちは思いっきり焦れ焦れさせたい！

そんな二埋もたまにはイイヨ！
そして、倅はエプロンが似合うに違いない！
そんな同士は【つづき】よりドウゾ！

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「何をそんなに怒ってるのさ！」
「うるせぇ！俺の勝手だろ！」
「みんな(特に先生)が怖がってるだろ！」

・03：Lunchbox・


朝のホームルームから二世の機嫌は最悪。
以前は短かった、長い足を机に乗せて
…いつの不良だよ君は。
おかげでクラスメートは勿論、先生まで
怯えて連絡事項どころじゃない。
先生に注意されても無視する二世にキレたのは
結局僕だった。

「…メフィスト二世。いい加減にしないと、僕も怒るよ」
「もう怒ってるだろ」
「…そう」

僕は二世の頭を上から掴んだ。
手のひらに角が当たったのを感じて一言。

「折るよ」

見下ろして言うと二世の顔が真っ青になった。

「ちょ、ちょっと待て！」
「じゃあ足を机から下ろして、
　先生の話しをちゃんと聞いて！」
「わ、わわ、判った判った！」

二世は慌てて座り直して、前を向いた。
みんなが呆気に取られた顔をしてる。





昼休みは屋上。入学した時から変わらない、いつもの習慣。

「それは…災難だったね」
「本当だよ。目立たないように、目立たないように
　大人しく生活してたのに」
「メフィスト二世は我慢弱いしね」
「足短かったから、自慢したいのかなー？」


「…そういう事は本人がいない所で言えよ」


二世が恨めしそうに僕と貧太くんを睨んだ。
睨み返すと、白い顔がキョロキョロした。
メフィストに怒られる時も、そうしてたっけ。
思わず笑ってしまう。

「ゴチソーサマデシタ…っと」

奇妙なイントネーションで手を合わせて
二世がお弁当箱に蓋をした。

「お粗末様でした。綺麗に食べてたね。
　エツ子がまた喜ぶよ」

今朝。
エツ子が早起きして作った二世宛てのお弁当。
兄は購買部のパンだっていうのに。
空になったお弁当箱を受け取ろうとしたら
二世が首を振った。

「洗って返すぜ」
「別にいいよ。明日も作るって張り切ってたから
　それ、今日持って帰ってやらないと」
「じゃ、帰りにうち来いよ」



……………で。今僕は二世の部屋にいる。
まだ引っ越したばかりらしい綺麗な部屋。
大きいマンションだけど、中は思ったほど
広くなかった。一人暮らし用、かな。
シングルベッドにテーブルが一つ。
しかも床に座るタイプのガラス製ローテーブル。
テレビが一台、と部屋に付いているらしいクローゼット。

「…これだけ？」

あ、声に出ちゃった。

「要るもんがあれば取りに帰りゃいいだろ。
　まぁ今んとこ、ねぇけど」

二世はキッチンに立ったまま、
声だけこっちに向けてきた。

「でも、広過ぎず、狭過ぎずで丁度いい感じだね」
「まぁな。探したのは親父だけどな」

ニャハハ、と笑い声が聞こえる。
メフィストは相変わらず息子に甘いんだなぁ。

「ほらよ」

リビングに戻ってきた二世は、綺麗に洗ったお弁当箱と
コーヒーを置いた。
いい匂いがするホットコーヒー。
あのお坊ちゃんが、僕にコーヒー？

「…なんて面してんだよ。
　付き合わせといて茶も出さずに帰せるかっつーの。
　ましてや、悪魔くんだぜ。コーヒーくらい出してやるよ」
「あ、ありがとう…」

それは飲んだ事がない程美味しくて。
素直にそう言うと、満足そうに見せた満面の笑み。


そう。　僕、君の笑った顔　大好きなんだ。


「意外と二世、キッチンが似合うね」
「いい男はなんでも似合うもんだぜ」
「はいはい…この分だと料理も美味しそうだね。
　食べてみたいな」

本当に何も考えず、流れで言った一言に
二世が大きく反応した。

「本当か!?」
「え？」
「だったら、たまに食いに来いよ！
　一人で飯っつーのはやっぱ味気ないだろ。作り甲斐もねぇし」

そうか。
僕の家だったり見えない学校だったり魔界の屋敷だったり
どこにいても二世は、誰かとご飯を食べてたんだもんね。

「うん。じゃあ、時々ごちそうになるよ」
「毎日でもいいぜ？」
「それじゃ悪いよ」

そう言うと、目に見えてガッカリする二世に

「君が、うちへ食べにおいでよ」

と言うと、また明るい顔になった。

「エツ子が喜ぶよ」
「あぁ…でもそん時は悪魔くんも一緒に食うだろ？」
「え、僕？」
「昨日は一緒に食わなかったじゃねぇか。
　俺は悪魔くんと食いてぇの！」

真っ直ぐ目を見て言われて、
自分の顔が赤くなったのが判った。
誤摩化すようにコーヒーを飲んで

「そーゆー事は女性に言うもんなの」

そう言ったら

「照れるなよ」

僕の好きな笑顔がまた見れた。





暗い道を一人で歩きながら、
寒くなってきた空気を吸い込んだ。

『俺は悪魔くんと食いてぇの！』

思い出しては顔が緩みそうになる。
きっと明日の朝もエツ子は張り切るんだろうけど
今はもう　今夜はもう　忘れてしまおう。


夢でも君の笑顔が見れたら　最高だな。





It continues.