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仲里沙月の悪/魔くん小説(二埋)ブログ。
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7000over!ありがとうございます!

ラッキー7なのに持って来たのは中学生編・第8話!
書いてみたら思いのほか長くなったので、前・後編に分けてみました。

どうにもシリアスになりきらないのは
仲里の疲労のせいです。暗い話が現実で十分なんだyo!

メシアと二世が喧嘩!!?
っていうかエツ子はどうなったんだ!そして貧太は!
そんな謎も解明するような、しないような気のする第8話前編は
【つづき】よりドウゾ☆









"無知とは罪"


それが真実なら   僕はきっと  地獄逝き。




08:Your song Princess[前編]



バスの窓から、ぼんやり外を眺めていた。
歌唱部の二泊三日の合宿。本当は冬休みのはずだったけど
今年は土曜・日曜・祝日を利用した三日間。
僕たちは学校のバスで山の中へと入って行った。
去年は行かなかったけど、今年は…家にいたくなかった。

二世に想いを伝えて、浮かれてる自分にパンチでも入れるように
エツ子から、告白しようと思ってると言われて………。
どうしたって出るため息を素直に吐き出すと、
隣に座っていた貧太くんが声をかけた。

「悪魔くん…大丈夫かい?」
「うん、大丈夫だよ」
「お菓子、いっぱい持ってきたんだ。食べる?」
「…ごめん。食欲無くて…車に酔ったのかな」

笑顔を張り付かせてそう言ったけど、貧太くんは誤摩化せそうにない。

「…メフィスト二世、の事だよね…?」
「…昨日、エツ子が二世に告白をしたらしいよ」

『お兄ちゃん。あのね…帰ってきたら…話しがあるの』

家を出る時、エツ子は言いにくそうに、でもはっきりと、そう言った。
話しって…なんだろう。二世は、エツ子になんて答えたんだろう。
さすがの二世もバツが悪いのか、今朝会って、おはようと挨拶して以来
何も言ってこない。傍に来る事すらない。
…それでもちゃんと来たのは、どういう心境なんだろう。

「悪魔くん…」
「ごめん、少し眠るよ。着いたら、起こしてくれる?」
「あぁ、任せてよ」

そう言って笑った貧太くんを横目に見て、僕は背もたれの頭を預けて、目を閉じた。
…話しがあるって事は、もしかしてつき合う事になった、とかかな…。
二世だってエツ子の事は大切にしてたし、満更でも無さそうだし…。

『好きだぜ』

何を、信じたらいいんだろう。



頭がグルグルして、とても眠れそうにないのに僕は目を閉じたまま動かなかった。


***




着いた先は本当に山の中だった。
木々に隠れるように立つ、幾つかのコテージが立ち並んでいて
各学年で一つのコテージを使うらしいけど、二年は女子五人がいるから
男女に別れて…

……って、ちょっと待って!

「三人で一つのコテージって事…?」

つまり、貧太くんと二世と三人で二泊三日。
…家にいた方がマシだったって思ってももう遅い。
三人で荷物を置きに入って二階に上がると、ベッドは二つ。

「僕、ソファで寝るからいいよ!」
「悪魔くん!」

貧太くんが止めるのも聞かず、慌ててそう言って一階に下りた。
ソファの傍に荷物を置いて、時計を見た。
もうすぐ二時。練習は三年生のコテージでやるらしいし、
一人先に行ってしまおうか…。

「真吾」

背後からの声に、心臓が口から出そうな程驚いた。

「…ちょっと、いいか」

いつも強引な二世がそんな風に訊くなんて…。
僕は二世に振り返って、彼を見た。
思い詰めたような、悲しそうな顔には、いつもの笑顔はない。
二世にこんな顔させているのも…僕、なんだよね。
二世が口を開くと、コテージの扉がノックされて、答える前に開いた。

「先輩ー、もう練習始めるそうですよ」

一年生の男子がそう言って、僕たちを急かした。

「うん、もう行くよ。二世…、貧太くん、呼んできてくれる?」
「あ、あぁ…」

結局 そのまま二世の話しは聞かずに三年生のコテージに集まった。
全員に配られたのは、曲のリスト。

「この中から一曲選べ。その曲を合宿最終日、
 帰る前に各コテージで発表をしてもらう。優勝チームには賞金出すからな!頑張れよ!」

一年生は一人なので、僕と二世と貧太くんと合同で。
部長の説明を聞いてから四人で輪を作って相談を始めた。

「どれにします?」
「うーん…誰が歌うかにもよるよね」
「そりゃ悪魔くんだよ」
「貧太の歌声は悪夢に出そうだからな」

そう言って二世が笑った。今日初めて見た笑顔に訳も判らずホッとしてしまう。

「僕より二世の方が上手いじゃないか」
「俺はコーチっつー事で」
「楽したいだけだろ」

睨むと、また二世が笑った。
…なんだか、普通の友達だ。いつも通りの、友達。

「美納くんは、どの曲がいい?」
「僕ですか…僕は………ピアノが、弾きたいです…」

一年生は顔を赤くして照れくさそうに言った。
見ると、三年生のコテージには大きなグランドピアノがある。

「ピアノを使うのは一曲だけだね。じゃあ、これにする?」

どんな曲かも知らないそれを選ぶと、一年生は嬉しそうに
部長に報告しに行った。戻ってきた時には、両手に楽譜を四部抱えていた。
曲名は"あなたの歌姫"

「副部長のアレンジがされてるらしいですよ」
「へぇー……え、これ、僕が歌うの?」

女子でも厳しそうな高音がズラリ。
でも、ピアノが弾けると嬉しそうな顔をする後輩を前に
やっぱりやめよう、とは言い出せない。
僕は限界ギリギリの高音と格闘しながら、
二世はピアノの方を教えてる。少し心配だったけど、いいコーチしてるみたいだ。
練習は穏やかに進んで、夕食も三年生のコテージで全員で済ませた。
それぞれ帰っていったけど、僕はコテージの中でも一人ソファで練習をしていた。

「うーたーひめ……うた…うーたー……うー?」
「悪魔くん」

振り返ると貧太くんが小さなペットボトルに入ったジュースを
渡してくれた。

「部長が、悪魔くんと飲めってさ」

貧太くんは僕の隣に座って、自分もジュースの蓋を開けた。

「歌えそう?」
「うーん…でも頑張るよ。美納くん、ピアノ楽しそうだったし」

そう言って、僕もジュースの蓋を開けた。

「悪魔くんらしい理由だね」
「そうかな?」
「…メフィスト二世は、もういいのかい?」

ドキ、と鳴った鼓動を落ち着かせようとジュースを一口飲んで
苦笑いを浮かべた。

「……思えば、おかしかったのかもしれない。
 親友で、仲間だったのに…こんな…」

悪魔と人間 男と男 主と使徒
その上、大切な妹は彼をずっと好きで。

「…なら、僕が言ってもいいかな?」
「え?」

隣を向くと、貧太くんは僕に微笑んで

「ずっと、君が好きなんだ」

確かに、そう言った。

「小学生の頃から、ずっと」
「貧太くん…?」
「でも…悪魔くんはずっと、メフィスト二世が好きなままだったから
 諦めようと思ったんだけど…無理なんだ」

微笑んだまま、眉間に皺が寄った。

「…僕が、君を"悪魔くん"って呼ぶ理由、気付かなかったかい?」
「理由って…」
「東嶽大帝の戦いが終わって、中学に入って、
 君を"悪魔くん"って呼ぶのは、僕一人になった。だから…
 僕は、君の中で"たった一人"になりたかったんだ…」

子供っぽいよね、と笑った顔は少し赤くなっていた。
知らなかった。
僕を"悪魔くん"と呼ぶ本当の理由も、貧太くんの気持ちも…。

「貧太くん…あの…」
「返事、急がないから。今は練習もあるだろうし…ゆっくりでいいよ」

貧太くんは自分のジュースを持って立ち上がり、僕に背を向けた。

「でも、これだけ覚えておいて。
 僕なら…君を悲しませたりしない。絶対に」

そのまま貧太くんは階段を上がり、僕はまたそこで一人になった。
また楽譜を見たけど、集中できそうにない。
僕はソファに横たわって、クッションに顔を埋めた。
貧太くん エツ子 二世…  大切にしたい人を、悲しませてる。
貧太くんは優しいし、頼りになるし、気も合う。
二世は、もしかしたら…エツ子とつき合う事にしたのかもしれない。
だから練習中だって、友達に戻ろうと自然に接してくれたのかもしれない。
二世の事は諦めて、貧太くんにちゃんと返事するべきだ。

『好きだぜ、真吾』

もう逃げないって、決めたはずなのに
忘れられない君の声から逃げたい。好きで好きで仕方ない、二世から。




***



「先輩、大丈夫ですか?」

寝不足でフラフラしながら楽譜を見てたら、後輩に心配されてしまった。
こんなんじゃ、先輩失格だな…。

「悪魔くん、大丈夫かい?」
「あ…うん、ちょっと寝不足なだけだし」

貧太くんまで心配そうな顔。
昨日の事は夢だったんじゃ、と思う程貧太くんはいつも通りだった。

「練習、無理しちゃ駄目だよ?あと…」

僕の耳にこっそり

「僕の事で、悩まないでくれよ」

そう言った。やっぱり夢じゃなかったらしい。

「悩み過ぎるのは悪い癖だよ。
 僕は悪魔くんが幸せなら、それでいいから」

明るく笑った顔はどこか照れくさそうで

「…ありがとう」

心から、そう伝えた。

「…あれ?そういえば、二世は?」
「メフィスト先輩なら、ちょっと出て来るって、さっき外に…」

窓の方を見ると、木の枝に横たわって昼寝してる黒い影を見つけた。

「何やってんだよ…ちょっと呼んでくる」

一人で練習していた美納くんに伝えて、外に出て

「メフィスト二世!」
「ど、ゎわわわ!」

叫ぶと、間抜けな声を出して落下。
…主が悩んでるってのに、原因がこんなんじゃ嫌んなちゃうよ…。

「後輩放って何してんのさ。ピアノ、見てあげなよ」
「ピアノっつっても簡単じゃねぇか」
「君にはそうでも、美納くん、悩んでたよ」
「……自分が悩んでるってのに、他人の悩みの心配か?」

僕を睨むような目で、低い声で言った。

「つくづくお人好しだな」

嘲笑うかのような言い方に、さすがにムッとして
僕は二世を睨み返した。

「悩ませてるのは誰だよ」
「俺か…それとも、貧太か?」
「え…」
「慈愛のメシア様はモテモテだな」

昨日の事を、聞いていたんだ。
それを予想できなかった自分にも呆れるし、二世の気持ちも知らない。
…知らないけど、嘲笑に怒りはどんどん沸いてくる。

「どうすんだ?
 お人好しのお前だからな、いっそ貧太に鞍替えか?」

それはまさに"言っちゃいけない一言"
堪忍袋の緒、ってのがあるなら、この時僕のそれは間違いなく切れた。

「………たら……」
「あ?」
「それができたらこんなに悩んでないよ!」

滲んだ視界に、僕は泣いてるんだと知ったけど
叫んだって気持ちは治まってくれなかった。

「お、おい…」
「二世の……」

シャツの下に隠した十二の珠が熱くなって、脳裏に象人の姿が浮かんだ。

「二世のバカーーーッ!」

丸い顔に思い切りビンタして、コテージの中に走って戻った。
何事かとみんな僕を見ていたけど、構わずに
荒れる息を整えながら涙を乱暴に拭った。

「あ、悪魔くん…」
「…ごめん、なんでもないよ。もうあんな奴放っておいて
 練習しよう」

楽譜を持ち上げて、三人で練習を始めた。

『いっそ貧太に鞍替えか?』

バカにするみたいに嘲笑ってた。
僕が、どんな気持ちで好きだと言ったかも知らないで…
僕が…どれだけ二世を好きで…離れてから、
どんな気持ちで二世を待ってたかも知らないで…ッ!
知らないのは、僕が伝えてないからなのに。
僕だって、二世の気持ちを知らないだけかもしれないのに。
怒りは一向に鎮まってはくれなかった。
窓の外で、二世が顔面を地面にめり込ませてピクピクしてたけど
すぐに目を反らして、楽譜に並んだ歌詞を見つめた。

…なんだか、今歌うには、皮肉な歌だな…。

「埋もれ木、メフィスト二世と喧嘩したのか?」

部長が僕の傍へ来て、貧太くんに美納のピアノみてやれ、と
指示を出した。

「喧嘩って程じゃ…」
「喧嘩もしてないのにブン殴ったのか?」

部長は可笑しそうに笑って、窓の外を指差した。
二世は、副部長と話しをしていた。

「何が原因か知らないけどな、ちゃんと仲直りしろよ」
「…はい」

俯くと、部長は僕の手の中にあった楽譜を見て
笑った。穏やかな笑顔。

「いい曲だろ」
「え……」
「高音ばっかりで辛いだろうけどな。
 …俺があいつと喧嘩した時にな、あいつ、謝るのが嫌で
 この楽譜を代わりに俺に寄越したんだ」
「あいつって…」
「あの気難しい眼鏡ヤローだ」

そう言って指差したのは窓の外の副部長。
寡黙でクール、なんて言われてる副部長に、そんな過去が
あったなんて…。

「しっかり歌い上げて、ちゃんと仲直りしろよ」

僕の頭をぐしゃぐしゃ撫でて、部長が笑った。





後編へ。
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