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仲里沙月の悪/魔くん小説(二埋)ブログ。
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本日ここまで!第四話です!

個人的にこの四話が一番好きです。駄文でも。
頑張るメシア。でもちょっと君、頑張り過ぎだから。
アニメも最終回が進むに連れて笑顔が消えていったから。
頑張れ! より 休め! と言いたい。
倅に存分に甘えるがイイヨ!
もう、そんな気持ちでいっぱいです。

葛藤 生死 喪失

そんな不吉な二文字でお送りする第四話は
【つづき】よりドウゾ!






(4)





「痛い!」

その日 目覚めた第一声はそれだった。

「ほら、行くぞ」
「何するんだよ!」
「いでぇ!」

二世の頭に拳を下ろして、噛み付かれた耳を撫でた。
確かに起こしてくれるとは聞いてたけど
こんな起こし方しなくても…。

「まったく…ふざけてる場合じゃないだろ」
「……調子戻ってやがる」

ぶつぶつ言う二世を無視して、朝日に目を細めた。

「…出発する前に、みんなに用意してもらいたいものがあるんだ」
「あ?」

首を傾げる二世に、僕は人差し指を立てた。

「備えあれば憂い無し、だよ」

それからしばらくして太陽が昇りきった頃
僕はコースの先を見つめた。

他の十二使徒も呼ぼうと魔法陣を書いたけど、無駄だった。
もしかしたら、封印に似た力が働いてるのかもしれない。
でも落ち込んでる暇はないんだ。

「…行こう」
「地獄へ、か?」
「神ヤローをブッ飛ばしに、ね」

僕達は手を繋いで歩き始め、後ろに皆が続いた。
ディスターもその中で周囲の人に声をかけてる。
そうだ。まだ 絶望するには 早過ぎる。

『…それでは レースを再開しよう』

またあの声。
相変わらずその声は出所が判らないけど
確かに僕達の耳に届いた。

「走れ!」

僕と二世は宙を飛んで
他の人達は馬に乗って走り出した。
馬を持っていなかった人も
貴族が乗っていた馬に一緒に乗っている。

それを横目に見ながら

大気を舞う赤を見つけた。

「火の雨だ!」

誰かが叫んだと同時に
僕達の上に 文字通り 火の雨が降り注いだ。

大粒の 赤い雨は
あっという間に人々を飲み込んだ。

「今だ!」

僕の合図で、皆が木の枝や葉を束ねたものを振り回した。
朝日と共に皆で集めた、即席の鎧は
あっという間に燃えたけど…沢山集めたんだ。
走り切る可能性はある。

「諦めちゃ駄目だ!」

なりふり構ってられない。
皆は集めたそれが無くなると
シャツや自分の腕を振り回しながら走った。

僕もマントで二人分の身体を隠していたけど
熱気で息ができない…ッ!

終わりの見えない雨と疲労に
絶望した者から 火に飲み込まれていった。

響き渡る悲鳴の中で
僕は叫び続けた。

「生きて …生きて帰るんだ!」





火の雨が止んだ頃には
生きているのは 僕と二世、
ディスターと、その友達だと言うカルナだけになった。
二世のマントも焼けてしまって、ディスター達は馬を無くし
僕達はただコースを歩き続けた。

「…よく、あの雨が来るって判ったな」

ディスターの言葉に
僕は前を向いたまま答えた。

「…火の雨はこの国にとって脅威だ。
 人を支配するのに、恐怖心を煽るのが一番簡単だから…
 それに今夜、儀式をするって聞いたから…
 生贄の必要性もアピールできる。
 きっと…そうだと思って…」

思っただけで 結局何も変えられなかった。
拳を握るとカルナが僕の肩を叩いた。

「君のおかげで、私は生きているんだな。
 感謝する」

整った顔立ちが、そう言って笑った。

「…僕は…何もできてません」
「そんな事は」
「だから…お礼は生きて帰れたらにして下さい」

たった四人。
何もできなくて 見殺しにしたも同然だ。

でも

僕が諦める訳にはいかない。

「もう泣かねぇんだな」
「…必要なのは、殺す覚悟でも死ぬ覚悟でもない。
 這いつくばってでも生きる覚悟、だろ?」

そう言うと二世は笑って頷いた。

「おい、見ろ!」

ディスターが指差した先には
剣が四本 地に突き刺さっていた。

「よく此処まで生き延びた。…では最後の試練だ」

今度は声の出所がはっきり見えた。
神衛隊に囲まれた籠の中
あそこに "神"がいる。

「そこに剣があるだろう。…それで殺し合え。
 拒めば全員死ぬ事になる」

僕達の周りは神衛隊に囲まれて
逃げ場もない。

殺し合う…?

カルナと…ディスターと…

………二世と?

「心配すんなよ、坊主」

ディスターとカルナは剣を一本ずつ引き抜いて
僕に笑った。

「お前等と殺し合うなんざ、死んでもごめんだからな」
「相手は…自分で決める」

構えを取った二人は

「ディスター!カルナ!」

僕の叫びも無視して
神衛隊へと切り掛かった。

数が違い過ぎる。
勝負は、一瞬でついた。
二人は力無く倒れ、カラン、と剣が音を立てた。

二世が何か言っていたのに
僕はそこから動けなくなっていて
二人を見たままだった。

「愚かな…。
 さて、お前達は我を楽しませてくれるかな」

神の笑い声に、握った拳が震えた。

「どうした? 殺せ。殺し合え。
 ふ、ふふふ、あはははははははッ!」
「………ぅな……」
「…真吾…?」
「笑うなぁーッ!!」

僕は剣の一本を引き抜き、籠目掛けて思い切り投げた。
それは籠の端に刺さり、神衛隊が騒いでも
僕は声を止められなかった。

「笑うな、笑うな、笑うな、笑うな!」

ロデ…ディスター…カルナ……

「あなたは…ッ、神とは名ばかりの大バカ者だ!
 人は…傷ついたら痛いんだよ…虐げられたら悔しいんだよッ…
 あなただって怪我をすれば痛いでしょう?血を流すでしょう?
 死んだらッ…」

みんな みんな 生きたかった。
それなのに… それなのにッ…!

「死んだら…本人も、残った人も悲しくて、苦しくて…
 苦しくて、気持ちがどこへも行けないッ…
 憎んでも、呪っても…光が見えない…」



『ありがとう』
『ありがとうな、坊主』
『感謝する』




「そんな事もわからない奴が、神だなんてぬかすなぁ!」

気付いたら、僕は肩が揺れる程息がきれていた。
滲み出した涙を拭って、正面を向くと
籠の中から拍手の音が聞こえた。

「…威勢の良い、利口な子供だ。
 そうだな、命とは尊いものだ。だが…実に惜しい。
 お前は一つ、忘れている」

籠の中から出て来た神は、光に透ける銀の髪を揺らして、
蒼い目を細め、笑っていた。

「我は 神だ」

僕を指差し、儀式用に捕らえよ、と言って
籠の中に戻っていった。
籠はゆっくりと動きだし、僕と二世は一瞬で神衛隊に囲まれた。

また 絶体絶命。
僕は本当に 何もできないのか。
"悪魔くん"として 誰かを守る事もッ…

二世と背中を合わせて警戒すると、後ろで二世が小さく笑った。

「つくづく見事な奴だな。惚れ直したぜ。
 帰ったら、嫁になれよ」
「…何言ってんだよ、こんな時に…」

苦笑いを浮かべて振り向くと、二世が不敵に笑っていた。

「いいな、約束だからな」

そう言って二世は最後の剣を構え、神衛隊に向かっていった。
魔力が使えないと言っても、魔大公の名前は伊達じゃなかった。
身体が小さいのが逆に有利になっているようで、
神衛隊の剣を避けながら、道を開いていく。
僕はその隙間を縫うようにして、二世の後に続いた。

「真吾、こっちだ!」

二世の手を掴み、森の中へと走っていった。
木々に隠れたけど、相手の人数が多過ぎる。
見つかるのも、時間の問題だ。
その上、あちこちから弓が飛んでくる。
いつまでも隠れてはいられない。

「ちくしょうッ…!」
「どうしよう…何か、何かいい手は…」

マントは焼けて、もう飛べない。
魔力も使えない。召喚もできない…。
神衛隊の足音はどんどん近づいてくる。
時間がない!
焦る気持ちで思考を働かせていると、
二世は手袋を取って、僕の頬に触れた。

「嫁を守るのは、旦那の役目だろ」
「二世…?」
「俺が出て行く。逃げられそうなら、そのまま逃げろ。
 逃げられねぇんなら、大人しく捕まれ。いいか、抵抗すんなよ。
 お前は儀式用っつってただろ…今夜までは殺されやしねぇ。
 夜までに、方法を考えろ」
「そんな事させられない!」

首を振ると、二世の顔がすぐ傍まで近づいた。

「生きろよ…真吾」

そう言って 僕にキスをした。
人生最初のキスは   血の味がした。

「二世…ッ!」

僕に背を向け、神衛隊へ向かっていく二世の背は
血に濡れていた。
神衛隊は大勢で二世一人に剣を震った。
辺りに、誰とも知れない血が舞う。

「やめろ!やめろッ!!」

僕は神衛隊に取り押さえられながらも叫び続けた。
暴れ回りながら二世に手を伸ばした。

その時。

ガンッと 音が響き

神衛隊 隊長 クレスの剣が

二世を貫いた。

僕は手を伸ばし 二世も僕に手を伸ばしたけど

それは触れる事なく

二世は 崖の下に落ちていった。





「二世ーーーーッ!!!!」





崖の方へ駆け出そうとしたけど、何人もの神衛隊に押さえつけられて
立ち上がる事もできなかった。
それでも諦めない僕の前に、クレスが立った。
その傍に、神衛隊の一人が走り寄った。

「クレス様」
「あの子供はどうした?」
「それが…崖は深く、とても降りられません。
 ですが、死体は確認しました」
「そうか…」

クレスは屈んで、僕の顎を掴み、上を向かせた。

「諦めろ。奴は死んだ」

死んだ……?


二世が……


『真吾』


……死んだ………










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