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仲里沙月の悪/魔くん小説(二埋)ブログ。
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ようやくここまでッ…!
話数自体はまだ続きますが、一応ここで終わりでも問題ないです。
っていうか本当はここで終わりでした。
色々付け加えてる内に伸びただけで…。


「信じる」 それがどんなに難しい事か。
「信頼」  それがどんなに重いものか。 それでも。 それでも。


それでは第八話!【つづき】よりドウゾー!






(8)




「……ご、真吾!」

目を開けると、二世が僕を抱えて、泣いていた。
大きな目から涙がポロポロ落ちて、それは僕の頬を叩いていた。

「二世……ゲホッ、」

咳き込むと血を少し吐いた。
よく見ると僕は全身血で真っ赤になっていて
僕を抱いた二世も赤く汚れていた。

「真吾!しっかりしろ!」
「う、うん…大丈夫」
「バカヤロー!大丈夫なわけねぇだろ!」
「ううん、本当に……大丈夫なんだ」

そう言って僕は二世の腕から立ち上がった。
クラッ、と視界が揺れた以外は本当に何ともなかった。
痛みもなく、呼吸もしっかりできる。
胸に手を当てると、確かに鼓動を感じた。

「僕、どうなったの?」
「…お前、いきなり倒れてあちこちから血を吹き出したんだ」

けど腕も足も、どこも怪我を…怪我はしてるけど、それは
あの闇へ落ちる前からだ。
貫通する程酷い傷は一つもない。
顔を上げると彼女は膝を着いて、項垂れていた。
もう、"彼女"とは呼べないかもしれない。
その身体は崩れかかっていて、
小さな髑髏がカタカタと音を立てていた。

「おい、真吾」
「大丈夫。もう…大丈夫だから」

僕は"彼女"の前に膝を着き、手を伸ばした。
初めて触れた頬はやはり人間のそれとは全く違っていて
とても、切なくなるような、冷たさだった。
あの闇の中で、僕に起きた事はきっと かつて、此所であった事。
何が悪いのかわからない。何が起きたのかさえわからないまま
君は …君たちは 殺されてしまった。

「君たちの言う通り…人間は弱くて、狡猾で、醜い。
 その全てを否定する事はできない。でも」

たとえ刃を振り下ろされても
たとえ命を狙われても
たとえ本当に殺されても

「僕は、信じる。
 人間は優しくて、暖かくて、誰かを愛していける」

僕はゆっくりと、ソロモンの笛を握り
心を、吹いた。





許してなんて思わないし、言えっこない。でも…
遅くなって、ごめん。どうすればいいのかわからないけど
助けに、来たよ。

今更でも 君たちを救えるなら。救う事ができるなら。







"彼女"から、カタカタと小さな音がして
二世のいる位置からメロディーが、もう一つ。
聞き慣れた死出のメロディーは、優しく響き渡った。
小さな髑髏は風に揺れて崩れ、それはすぐに砂へと変わり
風に舞い上がった。

『もう…いらないの』

響いた声は、泣いているようだった。

『ただ誰かに 手を差し伸べてほしかった。
だから…もう』

真っ白なそれはまるで花弁のように、くるくると回って空へ消えた。
咲き誇っていた彼岸花も後を追うように灰へと変わった。
何も無くなったそこで、僕は膝を着いて空を見上げ
二世はただ黙って、傍にいてくれた。




***





"彼女"が消えたと同時に村を覆っていた呪いも消えたらしい。
正気に戻った十二使徒と共に見えない学校へ戻ると
博士は涙ながらに喜んでいて
僕はみんなに会う前に気絶していて、呪いの解けた使徒達が
やっぱり泣きながら僕を介抱していてくれた、らしい。
全部二世から聞いた事だ。

「学者の泣き顔はケッサクだったぜ」
「またそんな事言って…みんなは?」
「あぁ、広間で騒いでる。博士がお祝いだってさ」

見えない学校の仮眠室で目を覚ました時、二世が傍にいてくれた。
ボロボロになった着物を正して二人、
ベッドに座って、今回の事を思い出していた。

「メフィストが言ってた意味、判ったよ」
「近寄れねぇって、言ってたやつか?」
「あそこは…彼女たちの呪いで満ちていたから」

人の感情から生まれた呪いに覆われた村。
高位な悪魔ほど、その怖さを知っている。
人が人を呪う、その怖さ。
だからメフィストでも近寄る事さえできなかった。

「…僕は、ちゃんと救えたのかな」
「呪いは消えたんだ。それでいいじゃねぇか。
 もっと利己主義に生きろよ」

隣にいる二世に目を向けると
声色とは正反対の、暗い顔をしていた。

「二世…?」
「お前みてぇな人間を、一人、知ってる。
 そいつには敵も味方もねぇ。
 どいつもこいつも救おうって、両手広げてやがった。
 悪魔の誘惑にも見向きもしねぇで、"メシア"なんて呼ばれてよ…
 魔界じゃ随分有名だったんだぜ。今の、真吾みてぇにな」

二世が 誰の事を言ってるのか想像できた。
そして、それが正しいなら、その人は…

「そいつは串刺しにされて、殺された。
 "人間"に裏切られて、"人間"に殺された」
「…何が、言いたいの?」

二世が、泣き出すんじゃないかと思った。
でも二世は握りしめた両手を見たまま、答えてくれた。

「…俺は、…お前がいつか、そうなるんじゃねぇかって…
 思えて、仕方ねぇんだ。
 今回だって、死んでもおかしくなかっただろ」

二世は泣くのを我慢しているように見えた。
僕はその言葉を否定する事ができないまま、二世を見つめていた。

「……そうだね。僕もいつか、殺される日がくるかもしれない」

明日 僕はいないかもしれない。
明後日 君はいないかもしれない。

「でも僕は、みんなを…君を信じてる」

今日 危険な目にあっても
明日 みんなと笑い合える。
明後日 君と喧嘩して離れても
その次には きっとまた傍で、愛してる。

「だから…怖がらないで。
 魔界のプリンスだろ?僕が十字架に磔にされたら
 飛んで、助けにきてよ」

強く握られた拳を両手で包んで白い頬にキスをした。
二世は少し驚いてから、ゆっくりと僕を抱きしめた。
僕も二世の背中に腕を回して、目を閉じた。

「…あぁ…絶対ぇに、何があっても、真吾を守る」
「…うん。信じてる」




今日も明日も明後日も
君と笑い合える未来を 信じてる。




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