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仲里沙月の悪/魔くん小説(二埋)ブログ。
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久しぶりにやってきましたホラーお題!
右往左往した割に、出て来たものはこんなもんです。
しかし懲りない!それが仲里です!

今回は花札の『こいこい』という遊びがでてきます。
知らなくても読めるよう頑張りましたが成果の程は謎←

とにかく遊びまくった一作。
書きたいものだけを好き勝手書いた感が否めません(毎回)
次はイチャコラが書きたいなー★

二埋要素は若干少なめですが、どんな二人も良しとできる方は
【つづき】よりドウゾ!





かってうれしいはないちもんめ
まけてくやしいはないちもんめ
あのこがほしい あのこがほしい

アナタが欲しい





29






休日の午後。日差しの差さない曇り空。
真吾の部屋で幽子が一枚の札を捲った。

「えっと…雨四光(あめしこう)です」
「また幽子ちゃんの勝ちだモーン!」
「やっぱり強いなぁ…花札で幽子に敵う人なんていないよ」
「あッ、悪魔くんも強いわ!」

「なーにやってんだ?」

ベランダから顔を覗かせ、首を傾げたのは
いつもならそこにいるはずの、メフィスト二世。

「あー!メフィスト二世、遅かったんだモン」
「悪魔くんと花札してたの」
「花札ぁ?なんだ、それ」
「…日本の、カードゲームだよ」

真吾は花札を片付けながら、二世を見ないまま答えた。

「今悪魔くんとやってたのは"こいこい"っていう
 遊びなの。メフィスト二世さんも」
「あー、悪ぃ。ちょっと悪魔くんと話しがあんだ」

二世は幽子の言葉を遮り真吾の腕を強引に掴んだ。
掴まれた手から、花札がバラバラと落ち、幽子から笑顔が消えた。

「そう…また今度ね。
 悪魔くん、私は見えない学校に帰るわ。
 百目ちゃんも一緒に行きましょう」

百目の手を半ば強引に取り、二人は部屋を出て行った。
部屋に残ったのは真吾と二世。
沈黙する部屋で、先に口を開いたのは二世だった。

「…案外、幽子には気づかれてんのかもな」
「……話す事なんか、何もないはずだけど」
「バカ言え。あんなんで納得できると思ってんのか」

三日前。
いつになく思い詰めた顔をして真吾が二世に伝えた、さよなら。

『今は…まだ、僕たちには戦う運命がある。
 恋愛なんか、してる場合じゃないんだ。
 だから…だから、戻らせて。
 ただの"仲間"に…"友達"に…戻ろう』

散々好きだと言い合って、愛してると抱き合って
戦いが終わり、もう少し成長したら
二人で色んな世界を見て回ろうと約束した。
二人で 一緒に 生きていけたら。
そう言っていた、はずなのに。

「いきなり、ただの"仲間"だ?ふざけんな」
「ふざけてなんかない。もう、嫌なんだ。
こんな…こんなの、僕じゃない」
「わけわかんねぇ」

二世は真吾の肩を掴み、ベッドへ押し倒した。
真吾はそれでも抵抗せず、苦しそうに顔を歪めた。

「お願いだから…これ以上
 僕の心に入ってこないでッ…!」

顔を伏せ、二世を押し返そうとしても
二世はビクともしなかった。

「……入っていけるもんなら
 思う存分踏み込んでやりてぇよ」

そう呟いた瞬間、バタバタと階段を駆け上がってくる足音。
足音は『大変だモン!』と繰り返しながら
部屋の扉を開けた。
二人は扉が開く寸前で離れ

「百目…どうしたんだい?」

真吾は冷静を装い訊いた。
百目が持ってきた一大事は耳を疑うものだった。

「十二使徒がッ…捕まっちゃったんだモン!!」

散らばったままの花札が一枚、風で揺れた。



***


「見えない学校が…」

三人は慌てて見えない学校へやってきたが
いつもならあるはずの場所に、今はただ
黒く大きな球体が浮かんでいる。

「幽子ちゃんも…あの中に引きずり込まれたんだモン…」
「悪魔の気配じゃねぇ…ありゃ何だ?」
「…迂闊に近づけないな…」

慎重にその球体を見つめる三人の足元で 黒い影が動いた。

「な、なんだモン!!?」

影は三人の足首に絡みつき、地に広がる闇へと引きずり込んだ。
それはまるで黒い髪のようだった。
声を上げる間もなく落とされた場所は月のない夜のような暗闇。
真吾が目を開けると、それぞれ黒い影に
首を繋がれた十二使徒が見えた。

「二世!百目!みんな!!」

駆け寄ろうとした真吾の背後に、強い気配を感じた。
ゆっくり振り返った真吾は
自分と同じ背丈の女の子と目が合った。
血のように赤黒いワンピース。
黒髪はその背丈より長く、途中から闇に溶けている。
合ったはずの目は、眼球がそのまま顔についたかのような姿で
真っ赤な目をギョロリと動かし、口元が笑った。

そびーましょ

その空間に突風が吹いた。
思わず皆は目を閉じたが、風が止んだ時には
真吾の前には赤いカードがふわふわ浮いていた。
正確には、カードではなく札。

「花…札…?」

自分の頭上には『12』の血文字が浮かんでいる。
女の子の前にも花札が浮いている。
数字も同じく『12』

「こいこい…?」

先に気付いたのは幽子だった。

「幽子ちゃん、こいこいって?」

鳥乙女が訊くと、幽子は二人を見たまま答えた。

「は、花札の遊びの一つで、役を揃えて点数を競うの。
 勝負は一月から十二月…十二回行って
 最終的に点の多い方が勝ち」
「つまり、なんだ!?俺っち達を賭けて
 こいこい勝負って事でヤンスかぁ!!!?」

真吾は黙ったまま、女の子を見つめていた。
悪魔ではない。
では 彼女の正体は…目的は…
不確かなものばかりだったが、一つだけハッキリしていた。

「…僕が勝てば、みんなを離してくれるんだね?」

覚悟を決めるしか、なかった。

「あーそびーましょ」

赤い花札に微かに光りが灯った。
札は触れる事こそできないが、手をかざせば自在に動いた。
真吾が山から札を捲り、女の子が札を捲り
勝負の先手を打ったのは真吾だった。

「赤タン。…こいこい」

宣言した声は酷く、落ち着いていた。

「なに?」「悪魔くんの勝ちじゃないの?」

ピクシーが首を傾げ、答えたのは百目だった。

「"こいこい"をすると、そのままの手札のまま
 勝負を続けられるんだモン」
「揃える役が多ければ多い程、最終的に勝ち取る点数が多いの」

けれど、それはまさに"賭け"
こいこいを宣言した後、相手が役を揃え、
相手もこいこいを宣言しなければ
せっかく揃えた役が無駄に消えてしまう。

「悪魔くん…無茶しないで…」

幽子は祈るように真吾を見つめた。
真吾の目の前で、バンッ、と札同士がぶつかった。

「花見酒。勝負!」

一月。まずは真吾が勝った。

「やったモーン!!」
「さすが大先生!格が違うってなもんでぇ!」
「バウー!!」

喜ぶ使徒の中で幽子だけが深刻な顔をしていた。

「…まだよ」
「幽子ちゃん?…だって、悪魔くんが勝ったんじゃ…」
「こいこいは全部で十二回の勝負…一月で勝っても」

十二月を迎えた時 自分の点が相手より低ければ負けとなる。

「勝負は最後までわからないわ…」
「…さぁ、次だ」

その後。
二月も真吾が勝ち、

「よっしゃぁあ!」
「蝙蝠猫!喜ぶのは早いって言われたでしょ!」

三月で負け

「点数が並んダワサ!」
「ピンチピンチ!」「大ピンチ!」

四月で負け

「悪魔くん…焦らないで…!」

五月で勝ち

「悪魔くん頑張るんだモンー!」

六月で 負けた。

「ッ…!しまった!!」

半分過ぎたところで、点差は大きく開いていた。
真吾の点はもはや女の子の遥か下にいる。
残り六回。もう負けは許されない。
それどころか、このままただ勝ち続けるだけでは
十二月が終わる頃、結局は負けてしまう。

ぁーってれしはなもんめ」

黙っていた女の子が、そう笑った。

ーのほーしい

女の子の声にノイズが混じり、耳を貫くような
鋭い笑い声が闇に響き渡った。
使徒に繋がれていた黒い影はそれぞれの首を締め付け
十二の悲鳴が真吾を覆った。

「みんな!」
ーしいほーしいほーしい

真吾はその場から動けず、ただ苦しむ仲間を見ているしかなかった。
無力を悔やみ、失う恐怖に囚われた真吾の身体は
ガタガタ震えた。


失ってしまう
大切な仲間を 僕のせいで
僕が弱いから 僕のせいで

嫌だ 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

『悪魔くん』

いなくならないで
消えないで
こわい こわいこわいこわい

『真吾』

失ってしまう 全てを



「……悪魔くん…もう、いいのよ」
「鳥、乙女…?」
「あなたは…私たちのために、戦ってくれた。
それだけで…十分よ…」
「そうだよ、悪魔くん…これ以上、君が傷つく姿を
見たく、ないんだ」
「サシペレレ…」

涙を浮かべた使徒の顔は優しく、真吾を見つめた。

「悪魔くん…大きな夢の前には諦める事も、
 …大切なんダワサ…」
「そうじゃな…もう、いいんじゃ…悪魔くん」

包み込むような優しさの中で真吾は呆然と立っていた。



あきらめる…? もう、いい…?
このまま、みんなを、大切なものを、失って



ふざけんな!!

叫んだのは、二世だった。
苦痛に顔を歪ませながら立ち上がり、その隣で
百目も立ち上がった。

「諦めるなんて、寝言は寝てから言いやがれ!
 俺の、俺達の主が、こんなところで負けるわけねぇ!」
「そうだモン!悪魔くんは強いんだモン!
 絶対負けないんだモン!」
「まだ負けてねぇ!そうだろ、真吾!」

二世の叫び声に、真吾はハッと、ポケットに手を入れた。
そこから出てきたのは、見慣れたマント。
悪魔くんとして戦う自分に、二世が初めてくれたもの。

「諦め…ない」

真吾はマントを握りしめ、涙が滲む目を乱暴に擦った。

「まだ、負けてない!」

マントを背に纏い、真吾は少女を真っ直ぐに見つめた。

「まだ勝負は終わってない。
 …もう一つ、賭けるものを増やす」

負けるわけにはいかない
まだ、負けてない

「僕の命を賭ける」
「ダメよ悪魔くん!!」
「その代わり!…僕が勝ったら、みんなも僕も解放して
 君は…在るべきところへ還るんだ」

その言葉に空間はざわざわと揺れ、次の瞬間
影は真吾の首に絡み付いた。
黒髪のようなそれは、しっかりと真吾を捕えた。

ーのこがーし

カクン、と首を傾け少女はニヤリと笑った。

「…絶対に負けない」

流れる冷や汗と震える膝を隠し、真吾は札を引いた。
七度目の勝負。七月は真吾が勝った。

「バウーーーー!!」
「悪魔くん!頑張るんだモン!」

八月も勝ち

「こいこいでヤンスよー!!」
「もう少しで点が追いつくわ!」

九月で負け

「ッ…まだだ!」
「負けるな真吾!!」

十月で勝ち

「悪魔くん!」「頑張れ!」

十一月。

「猪鹿蝶(いのしかちょう)…勝負!」

バンッ、と札が跳ね、真吾が勝った。

「あと少しよ!」

鳥乙女が指差した先にある血の数字は
あと少しで少女に追いつこうとしていた。

十二月。ついに最後の戦いとなった。これで、全てが決まる。

「花見酒」
「こいこいだモン!」

戦況を見守る使徒も真吾と同じようにこいこいと叫んだ。

「赤タン。こいこい!」
「こい!」「こい!」

真吾は真っ直ぐ前を向いたまま、使徒へ振り返ろうとはしなかった。
二世は黙ったまま小さなその背を見守った。

「…言った通りだろ、真吾」

真吾は引いた札を手札に叩きつけた。
暗い暗いその場所で、真吾が揃えた札が明るく光った。

「…五光……」

真吾が揃えた役を見て、幽子が呟いた。

「五光、って、なんでヤンス?」
「一番揃えにくい…一番強い役よ。
 五光で得られる点は、他の役よりずっと大きいの…」
「ってぇ事は…」

「悪魔くんの勝ちだモーン!!」

百目の叫びに使徒は湧き上がり、首を繋がれたままでも
はしゃぎ回り飛び上がって喜んだ。
けれど、真吾は女の子を見たままそこから動かなかった。

「…君が誰だか、僕にはわからない。
 でも約束は守ってもらうよ」

女の子は俯いたまま、ギギギ、と錆びたように鳴り
ワンピースを揺らした。

「ほんとに、強かったよ。今度は賭け無しで、勝負したいな」

真吾は女の子に歩み寄り、そこで、笑った。

「次も負けないよ?」

笑顔のまま、一枚の札を差し出した。
真吾が最後に引いた、五光の欠片。『月』の札だった。
その札はぼんやり光り、少女はそれをゆっくりと受け取った。
光りは徐々に強くなり、全員が目を開けていられなくなった。
次に目を開けた時、そこは見えない学校の前だった。
首に巻きついた影は、薄い跡だけ残して消えている。

「みんな!大丈夫!?」
「少なくとも、今の君よりは皆元気じゃ」

使徒は真吾の周りを囲むように立ち、妖虎が笑った。
真吾の膝はまだ微かに震えて、立てそうもなかった。
安堵と喜びで笑い合うみんなを、幽子と二世が見ていた。

「五光は光りの役。悪魔くんは…光りみたいね」

幽子の言葉に、二世が笑顔を浮かべたが、それはどこか
寂しそうでもあった。
ようやく立ち上がった真吾の足元に
ボロボロになった花札が散らばっていた。
その中に『月』の札はなかった。




***




「…一生分の運、使い切ったかも」

部屋のベランダから月を眺めて真吾は小さく呟いた。
屋根の上にいる、彼に向けて。

「出ておいでよ、二世」

返事はなし。真吾はムッとした顔で

「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム
 我は求め」
「うわゎわわ!こんな至近距離で召喚は勘弁してくれ!」

呪文を唱え終わる前に、二世が慌ててベランダに降りてきた。
真吾はその様子に笑ったが、すぐに月へと目をやった。

「…彼女の話し、聞いた?」
「あぁ、学者からな」

あそびましょう』『あのこがほしい
無邪気な子供のような、残酷な悪魔のような、小さな女の子。
彼女は花札に憑いた霊では、という話しが一番有力だった。

「あの花札は人間の欲を吸いすぎた…
 ただの子供の霊だったはずなのに、あんなになってしまうなんて…」
「学者が言ってたぜ。
 お前に、助けてほしかったのかもしれねぇってな」

真吾は俯き、小さく呟いた。

「僕には助けられない…僕も、彼女のようになるのが怖いんだ」

欲にとり憑かれ 闇の中で 己のためだけに『あそぶ』

「二世が好きだよ…ずっと、今だって。
 でも、それじゃダメなんだ。
 僕は"悪魔くん"なんだ。僕の、みんなの夢を叶えたい。
 …好きな相手に心をいっぱいにするなんて絶対に、ダメだ」

止められない感情 溢れていく心
運命を忘れ、ただ幸せな時間に生きようとする自分を
真吾は、許す事ができなかった。

「だから…もっと距離を置きたいんだ。
 僕が"悪魔くん"でいるために」

悩んで悩んで出したその答えに、二世は

「無駄だと思うぜ」

と一笑した。

「無駄ってッ…」
「んな事しなくても、俺がお前の心を全部手に入れるなんて
 無理な話しだ」

真吾が見た二世は、同じように月を見上げていた。

「お前は、いざって時俺を選ばねぇ。
 俺の手を振り払って、危険なとこ飛び込んじまう。
 自分を殺そうとしてても、それが敵でも
 お前はそっちを選んじまう…」
「そんな事…」
「じゃあ、今日お前命を賭けた時
 俺が泣いて頼んだらやめたってのか?」

冗談らしく言う二世に横顔は、まだ月をみていた。
その目は決して手の届かないものを、確かに見ていた。

「お前の心はいつでも誰かのために動く。
 それが嫌で仕方ねぇ時もあった。けど…
 俺が惚れたのは、そういう真吾だ」
「二世…」
「ったく。こんな不毛な恋もねぇぜ」

二世はようやく真吾へ向き、困ったように笑った。

「…ありがとう」
「礼言われるとこじゃねぇよ」
「今だけじゃなくて…今日の事、全部」

悲しくて 悔しくて 怖くて
全てを投げ出し諦め逃げ出せたら、どれほど楽だろう。
けど。それでも。

「まだ負けてないって…言ってくれた。
 頑張ってる時に"頑張れ"って言われるのも辛いけど
 "もういいよ"って言われるのも…辛いんだ」

俯き、涙を滲ませる真吾の頬を両手で包み
二世が自分の方を向かせた。

「バカ。…泣くとこでもねぇよ」

月だけが眩しく光るそこで、ゆっくりとキスをした。
真吾は二世の背に手を回し、微かに笑った。

「好きだよ 二世」
「好きだぜ 真吾」

あなたがほしい。あなたがほしい。
欲しがり合う花いちもんめを、月だけが照らしていた。
恐怖を抱いた心にも 光りを差すように。



End.
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